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第4の産業革命をもたらすAI、現在の到達点

AIに関わる技術と市場の最新動向を紹介するカンファレンス「BIG DATA ANALYTICS TOKYO」が2017年2月7日・8日の2日間、アカデミーヒルズ(東京都港区)で開催された。第4の産業革命をもたらす存在として注目を集めるAIは、話題性より実用性を重んじるビジネスの世界にも急速に浸透しつつある。AI関連のニュースサイト「AI Business」のディレクター、ダニエル・ピッチフォード氏は今回のカンファレンスで、こうした現況と将来展望を報告。企業が採るべきAI戦略について提言を行った。

トップ企業の3割がAIを導入。なお眠る巨大市場

「AIによる真のビジネスへの影響」と題した講演の冒頭でピッチフォード氏は、世界の企業が2016年の1年間でAIに対して3億5,700万ドルを投資したことに言及。さらに今後、こうしたAIへの投資が飛躍的に増加していき、8年後となる2025年までの累計で310億ドルに達するとの見通しを示した。

その理由として同氏は、今後AIの活用シーンがいっそう拡大していくことを挙げた。ビッグデータの集積やコンピューターの処理能力向上を背景に、ここ数年で企業へのAI導入は大きく前進。昨年時点で、FTSE100(ロンドン証券取引所の株価指数に用いられる上位100銘柄)とFortune500(Fortune誌が毎年発表する全米上位500社のランキング)を構成する企業のうち32%が何らかの形でAIを導入しているものの、その具体的な内容をみると、膨大なデータを自動処理するといった事務作業が主体となっている。こうした現状はAI活用の初期的段階にあたるといえ、なお潜在的な巨大市場が眠っていると考えられるためだ。

グローバル企業がAIスタートアップへの出資を拡大

ピッチフォード氏は、「人間の行動を予測する」「より正確な意思決定をサポートする」「顧客のユーザー体験を充実させる」「利益拡大のために製品開発を迅速化する」といった、より複雑な業務への対応がAI市場の拡大を加速させていくと予測。AIに対する投資が特に盛んな業界や、開発内容のトレンドを紹介した。

それによると、現在企業が実施しているAIへの投資のうち、機能別でもっとも多いのは機械学習やディープラーニングで、AI導入企業の75%で採り入れられている。また、45%の企業が自然言語処理(NLP)を、15%の企業が画像認識技術に投資しているという。AIのユーザー企業を業界別でみると、先行しているのは金融サービスや運送業、製造業、小売業といった業種で、さらに法律やヘルスケア、通信の業界も投資を増やしている。

実際のAI開発を担っているのは多くの場合、設立から間もないスタートアップ企業だが、こうした企業への出資は従来、ベンチャーキャピタルの役割とされてきた。ピッチフォード氏は、ここへ来てIntelやGoogle、GEといったグローバル企業の投資部門がAI分野で台頭していることに注目。こうしたグローバル企業によるAI分野への投資は現在600万ドルにのぼり、過去5年間で700%という急速な伸びを示していると強調した。

グローバル企業がAIに投資する際、大半のケースでは、スタートアップ企業が設立間もない段階で行う資金調達に応じる形を採っている。グローバル企業は10億ドルを超えるような巨額の出資も可能なことから、ピッチフォード氏は「こうした企業投資家によって、ベンチャーキャピタルは存在を脅かされている状況にある」と述べた。

今後3~5年、投資すべき新技術のトップはAI

また同氏は、eBayやFacebook、Microsoft、Yahoo!といった名だたるIT企業が過去5年間にAI関連のスタートアップ企業を多数買収してきたことも指摘。スタートアップ全般へ積極的な投資を行っているヘルスケアや広告・マーケティングといった業界にも、今後こうしたM&Aのトレンドが波及していく可能性を示唆した。

 以上のような状況を踏まえた上で、ピッチフォード氏は、企業のAI戦略を立案・実行する最高情報責任者(CIO)が現在直面する課題を、次のように整理した。

▽今後3~5年にわたり、AIは新技術への投資を検討する議題のトップに挙がること

▽AI関連で現在もっとも注目すべき技術は機械学習、画像認識、自然言語処理、RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)であること

▽現在AIは、効率性の改善やコスト削減、創造性の支援といった観点から注目されているが、ビジネスでもっともAIが有効なのは、極限までの個別対応が可能となる顧客サービスの領域であり、さらにマーケティングや営業、プロセス管理などがこれに続くこと

▽AI導入が会社組織に与える影響として、失業や、データのプライバシーに関する問題があること

▽AIに関する最終的な意思決定は、現状ではCIOやCTO(最高技術責任者)、データ分析の責任者やビジネスユニットの責任者といった複数人の間で行われていること
 報告の総括として、ピッチフォード氏は各企業が自社のAI戦略を進めていく上でのポイントを集約。「まず組織内のどこから開始するかを決め、設計と実装を主導する部署に責任を委譲すること、さらに方針の策定からサービス開始までのプロセスに、取締役会が確実に関与し続けることが重要だ」と述べた。

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