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ミールキットで“メシマズ”脱却?英国のユニコーン企業「Gousto」が挑む英国の外食・偏食文化

再びロックダウンの英国、自炊必須に

ネットフリックスなどの動画ストリーミングサービス市場やゲーム市場など、新型コロナの影響で、利用者が増加し規模が拡大している市場はいくつかある。

2015年頃にピークを迎え、その後若干の落ち込みを見せていた「調理キット」も、ロックダウンの影響で勢いを取り戻した市場の1つだ。

外出規制によって、スーパーへの買い出しや外食が困難になっている状況、人々は調理キットを注文し、自炊しているのだ。このトレンドは、自炊文化がもともとなかった国、またはここ最近そのような文化が衰退していた国で顕著となっている。

2020年11月5日から再び4週間のロックダウン体制に入った英国。この数年、自炊人口が減少していたが、調理キットを注文し自炊する人が急激に伸びている。この英国の自炊ブームを後押ししているのが、調理キットスタートアップの「Gousto」だ。

2020年11月3日のロンドンの様子

同社は、最新の資金調達ラウンドで2,500万ポンド(約34億円)を調達、合計調達額は1億5,500万ポンド(約215億円)となり、評価額1,000億円を超えるユニコーンのステータスに達したといわれる注目株だ。

現在、月間500万食を提供しているが、ユーザー数は伸び続けており、2022年までに社員数を1,000人から2,000人に増やす計画がある。2020年上半期だけで、2019年の通年収益8,300万ポンド(約115億円)を上回ったという。また、すでに黒字化も達成しているとのこと。

英国の調理キット市場では、競合企業が複数存在しているが、その中でもなぜGoustoの人気が急速に高まっているのか。

英国の食事事情に触れつつ、Gousto人気の秘密を探ってみたい。

「フィッシュアンドチップス」は国民食、テイクアウト主流から自炊へ

2018年12月、英国の買い物キャッシュバックサイトのQuidcoが発表した消費者調査レポートによると、同国では自炊する人の割合が減少傾向にあることが判明。

4人に3人(約75%)が普段の食事をテイクアウトで済ませていると回答したのだ。この割合は、18〜24歳の年齢グループでは80%に上昇する。

1カ月の平均テイクアウト利用回数は約12回、年間支出は1,320ポンド(約18万円)に上る。フードデリバリーアプリの利用は、過去5年間で3倍増加したという。

この時点で、毎日自炊しているとの回答は30%。男性だけで見ると、自炊しない人の割合は女性に比べ2倍増える。自炊しない理由の上位には、調理に時間がかかりすぎる(26%)、材料が高い(19%)、料理ができない(10%)などが並んだ。

英国拠点のオンライン市場調査会社YouGovが同国で実施した「最も人気の高い食事ランキング」という調査があるが、そこから英国の食事事情の一端を垣間見ることができる。

同ランキングで1位となったのは「チップス」だったのだ。また2位には「フィッシュアンドチップス」がランクイン。

これに3位「ローストチキン」、4位「イングリッシュ・ブレックファスト」、5位「マッシュポテト」、6位「スープ」、7位「バーガー・アンド・マッシュ」、8位「ビーン・オン・トースト」、9位「リブアイステーキ」、10位「ローストビーフ」が続いた。

ロンドンのフィッシュアンドチップス店

このランキングから推察されるのは、この需要を反映したテイクアウトメニューやレストランが多いということ。実際、漁業メディアIntrafish(2020年3月24日)が伝えた英国フィッシュフライヤー連盟の統計データによると、英国におけるフィッシュアンドチップス店の数は約1万500件で、マクドナルドやKFCなどのファストフードチェーンの店舗数を大幅に上回るという。英国全体におけるフィッシュアンドチップス支出は、年間12億ポンド(約1,660億円)に上る。

寿司、焼き肉、ラーメン、刺し身、天ぷら、うどん・そばなど比較的多様な食事が人気上位で、それらのメニューを提供するレストランが多い日本の感覚からすると偏りがある印象になってしまう。もしかすると、個別の食事に対してではなく、この「偏り」が英国の食事に対する評価につながっているのかもしれない。

55種類の多様な健康志向メニュー、Goustoが変える英国の食事事情

Goustoの躍進で、英国の食事事情は変わりつつあるようだ。

現在、同社が提供する調理キットのレシピ数は55種類。バーガーやチップスなど英国で人気の食事に加え、タイ・ビーフライス、ブラジリアンカレー、魚とほうれん草のクリームパスタ、豆腐料理など、健康を意識した多様なメニューが並んでいるのだ。

上記でも触れたように、英国で外食といえば「フィッシュアンドチップス」。これは言い換えれば、フィッシュアンドチップス以外の店を探すのに一苦労するということ。

ヘルシーな食事をテイクアウトしようとしても、そのような店を探しだすのが非常に難しい状況といえる。ロンドンなどの大都市部であれば様々な食事にアクセスできるが、郊外に行けば選択肢はほとんどない。

国民食ともいえるフィッシュアンドチップスだが、カロリーが高く、英国では肥満との関連が指摘され、1食あたりのサイズを縮小するという取り組みが実施されている。

英国民保健サービス(NHS)ウェブサイトの記事(2019年2月7日)によると、一般的なフィッシュアンドチップスの1食あたりのカロリーは1,658キロカロリー。成人男性では、1日の推奨カロリーの70%、女性では80%に相当する量となる。

英国でもミレニアル世代を中心に健康意識が高まっているといわれている。健康志向のメニューを多数取り揃え、そのような意識変化を取り込めていることが、Goustoの急成長理由の1つとして挙げられる。

もちろん、価格において競合よりも安い価格を設定し競争力を高めている点も成功理由の1つといえるだろう。英語メディアShiftedによると、Goustoの1人あたりの食事コストは2.98ポンド(約414円)〜、一方主要競合の1つHelloFreshでは3.44ポンド(478円)〜、Mindful Chefはさらに高コストになるという。

また、デリバリービジネスがよく批判される「ごみ問題」について積極的な取り組みを実施している点も人気の理由になっていると思われる。

同社は2019年に、パッケージなどに使用されるプラスチックを50%削減しただけでなく、食料廃棄率ゼロ%を達成。さらに、2022年にはすべての梱包材をリサイクル・リユース・堆肥分解可能にし、廃棄ゼロを目指すと公言している。

Goustoの躍進で、英国の自炊文化はどこまで広がるのか、またその変化が食事事情をどう変えていくのか、この先の展開が楽しみなところだ。

[文] 細谷元(Livit

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