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アマゾン、ウォルマートの牙城にフェイスブック支援の地元財閥が切り込み、競争激化する21兆円インドのEコマース市場

2026年に21兆円、インドのEコマース市場

ロックダウン/外出自粛で活発化したといわれるオンライン・ショッピング。これに伴い、世界各地のEコマース市場は大きく変化している。

その中でも最もダイナミックに変化しているのがインドのEコマース市場だ。人口13億5,000万人、若年層が多い人口構成、ネット普及率/スマホ利用率の拡大など様々な要素が絡み合いEコマース需要は急速に伸びている。ここにパンデミックによるロックダウン/外出自粛が重なった格好だ。

インド商工省傘下の組織「インド・ブランド・エクイティ・ファンデーション(IBEF)」によると、国内Eコマース市場の規模は2017年385億ドル(約4兆円)だったが、2026年には2,000億ドル(約21兆2,000億円)に拡大する見込みという。拡大の主な理由は、ネット/スマホ普及率の拡大。スマホの国内出荷台数は、2019年に前年比8%増の1億5,200万台に達した。ネット普及率は2007年の4%から、2019年には52%に拡大。伸びしろは依然大きく、ネット利用者数は2021年に8億2,900万人に達するとのこと。

インドのEコマース市場はこの数年2社による寡占状態が続いている。インド・バンガロールで2007年に設立された「Flipkart」と2013年頃にインド進出したアマゾンだ。Flipkartに関して、2018年8月に米ウォルマートが株式81%を取得しており、実質的には米国企業どうしの競争となっている。

米金融企業S&P Globalが伝えたForrester Analyticsのデータによると、2018年のインドEコマース市場の占有率は、トップは38.3%のFlipkart、2位は31.2%でアマゾンだった。2社で市場の70%を占める状態だ。

2020年9月現在、この寡占状態はフェイスブックが支援するインド財閥リライアンスの参入により新たな局面に突入しようとしている。以前お伝えしたが、フェイスブックは2020年4月、インドのデジタルサービス企業Jio Platformsに約61億ドル(約6,500億円)を投じ、株式9.99%を取得した。7月にはグーグルが約47億ドル出資し、株式7.7%を取得。このJio Platformsを傘下に持つのが、インド3大財閥の一角リライアンスだ。

Jio Platformsは、リライアンスのデジタルサービスを統括する完全子会社。ネットワークプロバイダ、エンタメ、音楽ストリーミングなど「Jio」ブランドで様々なデジタルサービスを提供している。たとえば「JioSaavn」は国内1億人以上の月間アクティブユーザーを抱える音楽ストリーミングサービスだ。

Jioウェブサイト

フェイスブックと連携し、アマゾンとウォルマートに挑戦

最近になり、このリライアンスがEコマース市場における取り組みを加速、フェイスブックとの連携もあり、寡占状態を崩す可能性が高まっている。

2020年5月、リライアンスはEコマースサイト「JioMart」を本格ローンチ、国内200都市でデリバリー可能なサービスを開始した。

JioMartウェブサイト

インド国内メディアEconomic Timesなどは、 アジア一の富豪であり、リライアンス会長を務めるムケシュ・アンバニ氏がウォルマートとアマゾンとの競争に本腰を入れ始めたと報道。インドEコマース市場の第3勢力として無視できない存在になるだろうとの論調を展開している。

JioMartの強みは、フェイスブックとの連携にある。JioMartスマホアプリはフェイスブック傘下のチャットサービスWhatsApp経由で入手できるようになっているのだ。インド国内のWhatsAppユーザーは4億人に上る。

また8月末には、リライアンスはインドのファッション/小売市場の主要企業の1社Future Groupの小売・卸売事業の資産を買収することで合意。TechCrunchによると、リライアンスはFuture Groupの小売・卸売資産に加え、ロジスティクスと倉庫事業を計34億ドル(約3,600億円)で買収するという。

Times Of Indiaが伝えたバンク・オブ・アメリカのリサーチレポートによると、この動きはリライアンスが競合のアマゾンを牽制するためのもの。アマゾンはFuture Groupの株式49%を保有。また小売部門Future Retailの株式10%を保有している。

リライアンスのムケシュ・アンバニ会長(写真右)

Eコマース以外にも波及する競争

Flipkart、アマゾン、リライアンスの競争はEコマースにとどまるものではない。

アマゾンがAmazon Primeで動画ストリーミングサービスを提供しているように、Flipkartやリライアンスも同様のサービスを展開。多角的な消費者の取り込み施策を打っている。

Flipkartは2019年9月末に「FlipkartVideo」をローンチ。テレビ番組や映画に加え、オリジナルコンテンツの配信を通じて、ユーザー獲得を狙っている。リライアンスもJioTVやJioCInemaで動画コンテンツの配信を行っている。

またアマゾンがこのほど開始した新サービスは、別分野での競争を激化させる可能性がある。それが金融サービス/フィンテック分野だ。

シンガポールメディアBusiness Timesの記事(9月2日)によると、アマゾンは、Prime利用者のさらなる獲得を目指し、このほど保険販売と金地金の販売を開始した。同社が2016年にインドで開始したモバイルペイメントサービス「Amazon Pay」の利用者を拡大し、インドにおけるオンライン支払い手段としての地位を確立するのが狙いという。

この一手にリライアンスも反応するはず。CNNは、アンバニ氏がJio Platformをグーグルやアリババのような企業に育てたいという野望を持っており、最近のフェイスブックとの連携やグーグルからの投資は、WeChatのような多機能プラットフォームの構築を目指していることを示唆するものだと指摘している。WeChatはソーシャル機能だけでなくモバイルバンキング機能などを持つ中国アプリ。インドでは、中国アプリは利用禁止となっている。

リライアンスは今後アマゾンとFlipkartの牙城をどう切り崩していくのか、その追い上げに先行する2社はどう対応するのか。ダイナミックに変化する非常におもしろい市場といえるだろう。

文:細谷元(Livit

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