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医療の質と安全のさらなる向上を目指してRPA活用で医療機関が連携へ ──「一般社団法人メディカルRPA協会」発足に伴い共同記者会見を実施

RPAの活用により、医療従事者の負担軽減、働き方改革の推進と、勤務環境の改善、医療の安全・質の向上を目指す「一般社団法人メディカルRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)協会」が9月6日に発足した。日本のRPA普及を図る一般社団法人日本RPA協会の呼びかけにより、全国の医療機関や有識者が集結することで実現した同協会の設立経緯や目的活動内容などをメディア向けに紹介する記者会見が9月6日に名古屋大学医学部附属病院にて開催された。その模様をレポートする。

患者中心の医療の実現のために

まずは司会を務めた名古屋大学大学院で救急医療を担当する名古屋大学大学院医学系研究科、救急・集中治療医学分野 山本氏が挨拶。2016年3月の救急医の大量退職を受け、その只中にあった山本氏は、救急医療を絶やさないようにと皆で尽力して壁を乗り越えたという。

「この出来事をきっかけに、どこよりも働きやすく患者さん思いの場にしたいと強く思うようになった」と同氏は語った。

患者中心の医療を実現するために、あらゆる職種のスタッフと手を携えてチーム医療を進めてきた同氏だが、そこで抜けていた視点がバックヤードである事務の領域だった。

「医療機関における時間とコストの効率化は喫緊の課題であり、そのためには医療事務を効率化して、医療現場はより医療に集中できるようにしなければならないと考えた」(山本氏)

とはいえ事務スタッフも現状でいっぱいいっぱいの状況にあり人手による効率化は厳しい。そうしたなかで山本氏らが出会ったのがRPAであった。医療事務にRPAを用いることで浮いた時間と人材を、より医療現場に投入できるようにとRPA導入に至ったのである。

「医療の舞台裏を支えるバックヤードの業務にRPAが縁の下の力持ちとなってくれている。RPAが医療を支えていくその第一歩に今日はなるだろう」(山本氏)

続いて日本メディカルRPA協会の発起人である名古屋大学医学部附属病院前病院長 石黒氏が設立の挨拶を次のように行った。「医療者というのはすべからく患者さんをよくするために働いている。となると一番大切なのは患者さんに向き合い、患者さんとともに過ごす時間だろう。決して書類をつくるための時間ではないはずだ。より患者さんと多くの時間を過ごし、より安全を担保するためには、真の働き方改革が求められてくるし、それを通じてさらにもっと日本の医療がよくなると信じている。そこに貢献できるのがRPAであり、RPAという技術を医療の世界に導入することで、さらに安全かつ質の高い医療サービスが提供できるようになると確信している。ぜひ今後ともご支援をいただきたい。

より注力すべき領域にリソースのシフトを

次に、日本メディカルRPA協会の活動内容と、自組織における導入事例の紹介を名古屋大学医学部附属病院事務部長、副院長 永家氏が行った。

同氏がRPAと出会ったのは2018年9月ぐらいのことであり、このときに、形骸化した事務組織の改革、労働者人口が減り続けるとともに労働基準法改正で働き方改革が進んでいくという2つの課題の解決にRPAが役立つと感じたという。

「まず医療事務にRPAを取り入れて成功したら、今度は医療にも取り入れ、最終的には医療者の働き方改革、さらには患者さんへのサービス向上に貢献できるのではないかと考えた」と永家氏は強調した。

2018年12月にRPA導入が正式決定し、現在ではプロジェクトリーダーの同氏を含めて17人のスタッフがRPAロボットを作成している。当初作成したロボットでも400時間程度の業務時間の削減と、劇的な効果が得られており、今後は108の業務をロボット化することで延べ17000時間の労働時間削減効果を見込んでいる。

「本来病院がもっと注力すべき作業へと労働力をシフトできるように取り組んでいきたい。ただし、ロボットつくっているとなかなか現業務が進まなくなるのも事実。また自分たちだけでRPAに取り組むのは限界もある。そこでこの協会にとって最も必要なのが、多くの医療機関は共通の課題を抱えているので、同じような業務は標準化して、ロボット作成の段階でディスカッションしながら作業分担してつくっていくことだと考える。そうすれば単独で取り組むよりも100倍の効果があるのではないか。なのでぜひ協会に参加していただきたい」

続いて東京大学副理事医学部附属病院事務部長 塩崎氏と国立大学病院長会議事務局長 小西氏、東京慈恵医科大学放射線科准教授 中田氏がコメントを寄せた。

塩崎氏は、「より医療を効率化したい、医療現場をどう支えればいいのかといったテーマに日々向き合ってる。ぜひこうしたRPAの活動に皆が参加することで全国的な展開になればいいなと期待している。同じような業務であれば支え会うことができるし、効率面でも意義があるだろう」と語った。

また小西氏は、「一つの大学だけでは難しいので、各大学で考えながらRPAの拡大に寄与するようにしていくことが肝要ではないか。このような協会を設立していただき感謝している」と挨拶した。

横の連携で医療課題の解決を目指す

続き、診療領域での医療機関におけるRPA活用事例として、東京慈恵医科大学放射線科准教授 中田氏が自組織での取り組みを紹介した。医療における人工知能について研究をしている同氏は、一昨年に研究の中でRPAと出会った。

「まず事務スタッフにRPAを使ってもらい、削減できた労働時間をこれまで医療者がやらねばならなかった事務作業へとシフトしていこうと、昨年から研究としてRPAを使い始めた」と語った同氏は、実際の電子カルテを用いた事務作業をRPA化した様子をスライドで披露した。

さらに、CTやMRIの画像を表示するシステムを起動して画像を“めくる”作業をRPAで自動化した様子も、同氏が放射線学会に研究発表したビデオで紹介した。日本はCTやMRIを使う回数がOECD諸国の中で極端に高いので、画像の確認作業の効率化にRPAが使えないかと試してみたのだという。

「人工知能には“頭”しかない。“手足”に相当するのがRPAだ。これからの医療の世界で手足となって動いてくれるソリューションとしてRPAは非常に重要になっていくだろう」(中田氏)

次に、千葉大学医学部附属病院 亀田氏が、医療におけるRPA活用についての自身の見解をこう述べた。「RPA活用は本気で取り組まないといけないテーマだ。そして取り組むなかで、医師は本来医師の担う仕事に注力するといったタスク分担が肝となってくる。今のところ働き方改革の決定的なソリューションはないが、働き方改革には、マインドの改革と合わせて地道なプロセスの改善が重要であり、そのためにRPAの活用は圧倒的に威力を示すと考える」

今回の日本メディカルRPA協会の発足に際し、公益財団法人日米医学医療交流財団理事
たかせクリニック理事長 高瀬氏、一般財団法人日本病院会会長
相澤病院最高経営責任者 相澤氏、日本病院共済会代表取締役一般財団法人日本病院 堺氏からビデオメッセージも寄せられ、3人とも協会が新しい医療のあり方の実現に貢献することへの期待を示した。

そして最後に、東京慈恵会医科大学学長アドバイザーの村山氏が、今後の医療機関におけるRPAの活用についてのプレゼンテーションを行った。

同氏は医療機関におけるRPAへの期待として下の5つを挙げた。

1 事務の効率化
2 タスクシフト
3 医師の勤務時間管理
4 医療の安全と質の向上
5 経営管理

このうちタスクシフトには2つの方法があり、1つは医師の事務作業のロボットへのタスクシフト、もう1つはデジタルレイバーにより事務が効率化されることで可能となる医師の間接業務の事務へのシフトだ。同氏はこれを「ダブルシフティング」呼んだ。

「医療機関でのRPAの取り組みは、民間企業におけるRPAの取り組みとはかなり異なってくる。だからこそ日本メディカルRPA協会において部会ごとに活動しながら横連携していくことで、医療課題の解決を実現していきたい」と同氏は訴えた。

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