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企業対抗「第1回RPAロボットコンテスト」リポート

RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)とエンタープライズAI分野に特化して開かれた国内最大規模のイベント「RPA SUMMIT 2017」が7月27日、東京・虎ノ門ヒルズで開催された。有識者の講演や先進的な事例紹介に加え、当日来場者の注目を集めたのが、国内のユーザー企業やシステムインテグレーターが競った「第1回RPAロボットコンテスト」。ホワイトカラーの定型業務を自動化するRPAの本質をどう理解し、ビジネスの現場で使いこなすか。今後の導入を検討する企業に多くの示唆をもたらした、第一線のエンジニアからの発表をダイジェストで紹介する。

複数ツールの併用に審査員も驚嘆

今回のコンテストは、RPAの普及を担うエンジニアの技能向上を目的に、イベント主催者である一般社団法人日本RPA協会が企画。導入企業の急増に伴ってRPAのプロフェッショナルが不足している現状を踏まえ、新たな人材育成への機運を高める狙いも込められた。

RPAの運用経験が長い3名の実務家が審査を担当し、ロボットのパフォーマンス管理や実行結果の確認、エラー発生時の対応といった多面的な観点からプレゼンテーションの内容を評価。この結果、RPAによる勤怠データの自動転記を披露したITコンサルティング企業、株式会社ビッグツリーテクノロジー&コンサルティングがトップの座に輝いた。

同社のプレゼンでは、SI事業部執行役員の湯川政延氏、同マネージャーの石毛生氏が、使用するソフトウエアの構成と、運用のフローについて解説。PCによるデモンストレーションも行った。勤怠管理のクラウドサービスから抽出した従業員の勤怠データを、給与計算に用いる別のクラウドサービスへ転記する一連の工程は、作業の自動実行にRPAのソフトウエア「blueprism」を使うだけでなく、実行状況の確認やエラーの処理、異常発生時の通知などで別のRPAソフト「UiPath」も用いる設計。ほとんど前例がない、RPAツールの“併用”は抜群のインパクトで、実演の様子を見た審査員からは「2つも使うとはチャレンジング」と驚嘆の声が上がった。

また同社が発表したフローでは、各工程で生じうるエラーに対して個別の処理手順を定めているほか、予見できないエラー全般に対応する処理手順も別途設定。さらに、エラーからの回復に必要な情報はエラーメッセージ内で表示するなど、総合的に高水準な設計・開発力も評価された。

同社はシステム構築の豊富な実績を誇り、コンテストに臨んだ2人も、湯川氏は基幹システム構築、石毛氏はECサイトなどに携わった経験の持ち主だ。「2つのツールを使うというのはコンテスト用の“遊び”の部分だが、今回われわれはRPAのロボットに、システム開発で培った運用管理の仕組みをしっかりと実装した。今後も、確かな開発力というSIerとしての強みを生かしながら、同時に、クイックにリリースして早期に効果を上げられるRPAのメリットとの両立を図っていきたい」(湯川氏)。プログラミング不要で迅速・安価に構築できるRPAにおいても、ITの知見が有用であることを端的に示す結果となった。

事業の重要指標を20ポイント以上改善

「人材の獲得競争が激化する中で欠かせないスピード対応を実現。従来42.3%だった候補者との面談設定率を、65.1%まで向上」――実に華々しい“戦果”を誇るRPAで注目を集めたのは、人材派遣業のキューアンドエーワークス株式会社だ。自動化の仕組みにとどまらず、定量的な業務改善の成果も随所でアピールし、コンテストの次点となった。

この日発表されたのは、さまざまなポータルサイト経由で同社の求人にエントリーしてきた求職者の情報を整理し、返答を自動化するロボット。情報のダウンロードと確認作業、さらに応募者へのメール送信まで、ソフトウエアが自動で行っている。従来の手順では、各サイトからダウンロードした応募者情報と自社の派遣社員情報の間に重複がないか手作業で確かめた上で応募者に電話連絡するという手間をかけていたことから、同社として把握できる応募者情報が1日2回更新にとどまっていたが、自動化後はデータ処理にかかる時間が4分の1未満まで短縮。応募者情報の更新は2時間ごととなった。これにより応募者に対する営業担当者のアプローチも一気に早まり、それが冒頭の面談設定率アップにつながっている。

社内の反応を尋ねた審査員に対し、同社の佐藤雄一氏は「情報更新の間隔をさらに縮めてほしいというのが現場からの要望」と回答。多頻度の稼働により、すっかり事業に欠かせない存在となったRPAに対して、さらなる期待が過熱していることを明かした。

技術的には、ポータルサイトごとに割り当てた情報ダウンロード用などで合計7台のロボットを使用しており、各サイトから得た情報をいったん単一のcsvファイルに集約した後、個人別の情報に分割。これらを自社の基幹システムに送り、重複が生じた場合は人の目で検証して統合したり、既存の登録情報を更新したりする。構築を担当したエンジニアの近藤克彦氏は「社内でノウハウを蓄積し、それをもとにRPAに強い派遣エンジニアを養成していくのが当社の構想。より安定的な運用を実現するため、エラー処理方法などの改善を進めていきたい」と話していた。

RPAを活用した、業務効率化を発表

人手頼みで2日がかりだった社内アンケートの集計を5分で完了させるなど、RPAの活用で知られる株式会社ビズリーチ。即戦力と企業をつなぐ転職サイト「ビズリーチ」では、利用企業を対象にビズリーチ社のリクルーターが採用業務を支援するサービスを提供している。今回は、RPAの担当部署で、社内向けに業務の再設計(BPR)を行っている事業戦略本部BPR部から、リーダーの田中聡氏と、滝田光氏がコンテストに臨んだ。発表したのは、企業の採用支援を行う社内リクルーターの業務効率化を狙ったパイロット版ロボットだ。
この日実演したのは、同社が保有する94万人以上(2017年8月時点)の会員データベースから中途採用予定の利用企業に対し、要件にあった人材を推薦する業務の効率化ツール。社内システム上の検索画面でチェックボックスを一つ一つクリックし、候補者リストを作成するといった手作業を自動化するもので、人間が1件処理を終える間に100件の候補者リストが作成可能という。最終的には担当者がスカウト送信を行うかどうか判断する。

設計上の特徴となっているのは、RPAのソフトをインストールする場所。自動化される一連の工程は、現場の社員らが随時必要とするものだが、ソフトは従業員が使うPCに搭載するのではなく、特定のサーバー上で各従業員からの依頼を受け付けて一括処理する仕様だ。これは「個別のPC上で運用した場合、管理が追いつかなくなるおそれがあるため」(田中氏)で、導入規模の拡大を見越した体制構築の一環という。今回発表したパイロット版では、同じく管理者の作業負荷を減らす狙いから、サーバー上にあるRPAソフトは、同社の業務基盤であるクラウドサービスに連携。RPAの管理者は、クラウドの操作画面上から当日の処理件数やエラー件数、平均実行時間などが確認できる仕様としている。審査員からは、このように明確な運用方針を持っていることを高く評価する声も聞かれた。

BPR担当である田中・滝田両氏のもとには、ビズリーチ社内の各事業部門から定型業務の自動化に向けた相談が多く寄せられている。もっとも、自動化の候補として上がってくる業務の多くは、まず作業の精査と標準化を行う必要があり、現状の手作業をそっくりロボットに移行できるケースはまれだという。「無理をせずに作業の一部だけ自動化するといった“落としどころ”を探すこともあり、RPAの活用には技術以外にコンサルタントの素養が必要。業務として費用対効果を見極める視点も大切」。そう語る滝田氏の生き生きした表情からは、伸長するフィールドで多面的にスキルを高めていく「RPAエンジニア」という職種の魅力が伝わってきた。

次回は「ハッカソン」で開催!?

審査員からも「私自身、RPAの新たな活用イメージがわく機会になった」(株式会社三菱東京UFJ銀行デジタル企画部事業開発グループ調査役・大西潤氏)、「ツール選定を終えたユーザーが直面する『運用』に着目し、業務の現場からの視点に期待していたところ、実際に運用中のものについても発表があったのがうれしい」(RPAエンジニアリング株式会社代表取締役社長大石純司氏)と好評を博した今回のコンテスト。初の試みは「ハッカソンのような形式でやっても面白い。プロの力量がライブ感をもって伝えられれば来場者も楽しいはず」(住友林業情報システム株式会社ICTビジネスサービス部部長・特手一洋氏)と、次回開催への期待も膨らませながら幕を下ろした。

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