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【完全ガイド】RPAとは?(2019年2月更新)

今の日本のビジネスを取り巻く環境は、少子高齢化に伴う生産労働人口の減少(労働資源不足の課題)、労働資源の減少に伴う多様なワークスタイルの実現(労働環境の課題)、またグローバリゼーションに伴う競争環境の激化に伴う生産性向上の必要性(生産性向上の課題)など、急速な環境変化が起きており、「働き方改革」を実現する必要性が高まっています。その上で有望視され、ニュースやネットで取り上げられるようになったのが「RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)」です。

それではなぜRPAが注目されるようになったのか、何ができるのか。RPAについてこれだけは知っておきたい基礎知識を、これからRPAの導入検討をされる方、改めて整理し直したい方を対象に、詳しく解説していきましょう。

RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)とは?

RPAとは、「Robotic Process Automation(ロボティック・プロセス・オートメーション)」の頭文字から取った略語で、「ロボットによる業務自動化」を意味します。

ロボットと聞くと、多くの人がイメージするのは漫画やアニメに出てくる人型ロボットや、製造業の工場内で単純作業に従事する産業用ロボットではないでしょうか。しかし、RPAで示すロボットは、パソコンの中で動く無形の「ソフトウェアロボット」のことを指しており、物理的な「ハードウェアロボット」ではないことを、まずは理解しておきたいです。

産業用ロボットは普及元年と言われた1980年から急速に立ち上がり、工場労働者の代わりとなって、人間の手や足の動きを代行してくれています。

それと同じように、RPAのロボットはおもにバックオフィスにおけるホワイトカラーの業務を代行してくれるものであります。これまで人間がパソコン上で行っていたアプリケーションを使った事務作業や、システム画面を識別して操作していたような作業を、代替処理してくれます。

RPAが登場するまで、ロボットによるオートメーション化が進んでいたのは、おもに工場のライン作業など、製造業の現場が中心でした。しかし、RPAの登場によって、ロボットの活躍の場がオフィスにも広がってきました。産業用ロボットによって日本の生産性は100倍以上もあがった実績もあり、今後ホワイトカラー領域における飛躍的な生産性向上が期待され、第2の「ジャパン・アズ・ア・ナンバーワン」を実現することも夢ではありません。

RPAが注目されるようになった背景

RPAの活用が熱い注目を集めている背景には、現在の日本のビジネスを取り巻く環境の変化が起因しています。それは、1)少子高齢化に伴う生産労働人口の減少、2)労働資源の減少に伴う多様なワークスタイルの実現、3)グローバリゼーションに伴う競争環境の激化に伴う生産性向上の必要性の3つあります。

【ビジネスを取り巻く環境の変化】
1)少子高齢化に伴う生産労働人口の減少(労働資源不足の課題)
2)労働資源の減少に伴う多様なワークスタイルの実現(多様化するワークスタイルに伴う労働環境の課題)
3)グローバリゼーションに伴う競争環境の激化に伴う生産性向上の必要性(生産性向上の課題)

RPAは、この「労働資源不足の課題」「多様化するワークスタイルに伴う労働環境の課題」「生産性向上の課題」の3つの課題がほぼ同時期に重なったため、急速に注目されるようになってきました。

少子高齢化に伴う生産労働人口の減少(労働資源不足の課題)

内閣府発表の「平成30年版高齢社会白書」によれば、日本の総人口に占める65歳以上の人口の割合(高齢化率)は、すでに27.7%(2017年10月1日現在)にも上っています。特筆すべきは、生産労働人口の割合が、2015年と2016年を境に減少傾向に転じていることです。

日本は、すでに世界のどの国も経験したことのない超高齢社会となっており、生産労働力人口の減少は今後さらに進むでしょう。その生産労働人口の減少をカバーするために、現在は女性労働力の活用や定年の延長、未就業者の就業支援、外国人労働者の受け入れといった施策が検討・実施されています。

しかし、それだけで追いつかないほどのスピードで人手不足が進行しています。その解決策として、大きな注目を集めているのがRPAとなっています。

労働資源の減少に伴う多様なワークスタイルの実現(多様化するワークスタイルに伴う労働環境の課題)

生産労働人口の減少に伴い、限られた労働資源を最大限生かそうとした「制約の克服」は、政府主導の働き方改革のテーマに掲げられています。

これは、活躍しやすい労働環境の整備を検討するもので、例えば、出産や育児で一度離職した女性が復職する場合、「なかなか再就職先が見つからない」あるいは「見つかったとしても以前のような高給は得られない」「非正規雇用の仕事ばかり」「育児をしながら在宅でできる仕事を希望するがなかなか見つからない」といったような課題を克服しようとするものです。

また、「高齢化した親の介護が必要となり、、柔軟な勤務体系を希望する者のそうした制度がない」といった課題を克服しようとするものです。

多様化するワークスタイルに対して、企業は優秀な人材を確保するためには、労働環境を整備しなくては優秀な人材を確保や長年働いてきてくれた優秀な従業員を引き留められなくなってきています。

グローバリゼーションに伴う競争環境の激化に伴う生産性向上の必要性(生産性向上の課題)

日本生産性本部「労働生産性の国際比較 2017年版」によると、日本の労働生産性は、OECD加盟国35ヵ国の中で20位、主要7ヵ国の中では最下位です。デジタルの進展によって、ビジネスにおける国境は今後ますます無意味なものとなり、グローバルでの競争環境は激しくなっていきます。

生産労働人口減少と同様、こうしたグローバル競争の激化はまったなしの状態であり、限られた労働資源の中で、生産性向上を実現していくことが今日本企業には求められています。

救世主として現れたRPA

RPAは、元々欧米で2015年頃から注目され始めました。欧米の企業ではトップダウンでの業務平準化と業務効率化による生産性向上を得意とし、業務平準化を通じたシステム導入や、業務そのもののアウトソーシングを通じた効率化など積極的かつ盛んにこれまでもおこなわれてきました。

こうした取り組みを通じて極限まで効率化を実現し「筋肉質」な経営を実現してきましたが、そこにRPAを組み込むことで更なる業務効率化の更なる一手として、多くのビジネスカンファレンスなどでRPAの威力について経営者を中心に語られました。

こうした動向を国内のコンサルティングファームが日本の経営者に啓蒙し、労働資源不足の課題、多様化するワークスタイルに伴う労働環境の課題、生産性向上の課題解決につながる「救世主」として一気に注目が集まるようになりました。

奇しくも、この頃第3次AI(人工知能)ブームが起きていましたが、そもそも企業の中でAIを活用できるデータが蓄積されていないため、期待したような成果が得られないといった状態であったこともRPAを後押しした背景にあります。

RPA市場の著しい成長

まだまだスタートしたばかりとはいえ、日本におけるRPAの市場規模は急伸しています。

RPAに取り組みでは欧米が先行していますが、RPAの導入普及スピードでは日本が世界で一番となっています。

市場規模の視点からみてみると、2017年度のRPAソフトウェア市場は売上35億円、前年度比約4.4倍という高い成長を見せましたが、2018年度も売上88億円、前年度比2.5倍という高い伸び率となっています。

IT市場調査会社アイ・ティ・アールの予測によると、RPA市場は2022年度には400億円規模になると予測され、2017年から2022年(5年間)の年平均成長率は62.8%にもなる予測を出しています。


参照元: ITR「ITR Market View: RPA/ OCR/ BPM市場2018」

野村総合研究所は、2015年12月のレポートで「日本の労働人口の約49%が、技術的には人工知能やロボットなどにより代替できるようになる可能性が高い」と発表しました。


参照元:野村総合研究所、レポート「日本の労働人口の 49%が人工知能やロボット等で代替可能に」(2015年12月)

また、ダボス会議で知られる「世界経済フォーラム」が2018年9月に発表したレポート「未来の働き方:The Future of Jobs 2018」では、人工知能(AI)をはじめとしたテクノロジーの進展により、2025年までに世界の52%の仕事はロボットなどが担うことになると予測する報告書を発表しています。


参照元:世界経済フォーラム(WEF)が発行「仕事の未来」レポート2018年版(Future of Jobs Report 2018)

これは「ヒトとロボットが協働する世界」の到来することを含んでおり、RPAはそのきっかけにしかすぎません。今後あらゆる業務や産業にソフトウェアロボットの活用が予測されることからも、上記にあげた市場規模以上の広大な市場機会があると言えるでしょう。

RPA市場のこれから

RPA市場が急成長していくと、「RPAによって仕事が奪われるのではないか?」という心配が頭に浮かぶかもしれません。しかし、そうではありません。ダボス会議の報告書にも記載されていますが、2022年には7,500万の職が失われる一方、自動化によって1億3,300万の新たな仕事が創出されるとしています。

では、どのような仕事が創出され、人間にはどのような役割が期待されるのでしょうか。

生命保険会社大手である日本生命保険では、2016年4月に「日生ロボ美」と名付けた仮想知的労働者を社員として入社させました。それまで、郵送されてくる保険金の請求書を人間が目視して手入力をしていましたが、その作業を「日生ロボ美」に任せています。


「日生ロボ美」取組み詳細に関するインタビュー記事はこちら

「日生ロボ美」の入社により、請求書を手入力していた社員が失業したのではないかと心配される方もいるかもしれませんが、そうではありません。その社員の仕事内容は、「イレギュラーな契約パターンへの対応」など、人でないと判断ができない業務へと変わっていきました。

RPAの導入で人の仕事が奪われるのではなく、人の役割が代わり、その変化に応じて、人は新しいスキルやノウハウを身に着けることが求められていくようになります。

RPAが得意とする仕事とは?

RPAが最も得意とするのは、定型業務の自動化です。といってもイメージしづらいかもしれません。もう少しかみ砕いてみると、「ひたすら繰り返し、時間がかかり、面倒で、やりたくない業務」です。

RPA導入支援で圧倒的実績を持つアビームコンサルティング株式会社は、RPAが適用できる業務を6つのに整理しており、選定の際の参考にしたいです。


参照元:アビームコンサルティング株式会社「RPA化で考えるべき6つの業務領域」

具体的には、以下のような業務が挙げられます。

・受注業務
・伝票記入業務
・ダイレクトメールの発送管理業務
・電話やメールなどで受けた問い合わせ履歴の管理
・顧客管理システムや在庫管理システム
・ERP(基幹業務システム)やSFA(営業支援システム)などへのデータ入力
・顧客データのフィルタリングやチェック

RPAのこういった利便性にいちはやく注目したのが、定型的な事務作業が多い金融業です。これらの業界では、それまで膨大な人手と時間をかけて行っていた定型業務を、RPAで自動化することにより大きな経営効果を生んでいます。

現在では、どんな業界でも、間接部門(経理や総務、人事)では定型的な事務作業が発生するため、金融業だけに限らずサービス業や製造業などあらゆる業界でRPAの導入が進みつつあります。

RPA BANKが実施した「RPA利用実態アンケート調査レポート」(2018年11月、有効回答数:772社)によると、回答企業の内訳は、メーカーが32%、サービスが25%といった結果も出ています。

RPAは万能?

「仮想知的労働者)」とも呼ばれるRPAはどの程度有能なのでしょうか。よく誤解されるのがRPAさえ導入すれば、あとはロボットが人の業務を勝手に代行してくれるといったものであります。

残念ながら、現在のRPAはそこまで優秀ではありません。RPAの特徴は、24時間365日稼働し続けても文句を言わず、ミスも一切なく、辞めることもない、です。

しかし、現在のロボットは、導入してすぐには使えるものではなく、業務を懇切丁寧に覚えてもらう期間が必要である、ということです。仮想知的労働者を導入して使いこなすためには、新入社員を迎えて仕事を覚えてもらうことに似た継続的な教育が必要となります。

ロボットを導入するプロセスは新人研修期間のようなもので、最初に任せる業務の手順(最小単位に分解されたプロセス)を明確に指示し、現場の作業手順が変わる度に、それを反映したカスタマイズを行います。

導入後も、チューニングを続けていく必要があります。RPAや周辺の技術が進歩することで、いずれはこうした教育やチューニングを行わなくても良い日が来ますが、現在はロボットを可愛い新人だと思って辛抱強く教育してあげなくてはいけません。

部下を育てるのと同じで、運用がいったん軌道にのれば、ロボットに任せられる業務の範囲は徐々に広がっていきますし、アップデートも容易となります。

RPAと他の業務効率化ツールやサービスとの違い

ここからは、RPAと他の業務効率化ツール(テクノロジー)やサービスとの違いについて見ていきましょう。

RPAとAIとの違い

最も多く聞かれるのが、RPAとAI(Artificial Intelligence/人工知能)の違いについてです。RPAもAIも、コンピューターを使って情報を自動処理させることに変わりはありませんが、定形業務を行うのがRPA、非定型業務にも対応できるのがAIと考えていいでしょう。

RPAは、定型業務フローを人間がルールに落とし込まないと自動的には動きません。それに対してAIは、蓄積された膨大なデータをコンピューターが参照して、その都度、どんな処理作業を行うか判断して自走します。決められたルールに基づいて定型業務を自動化するのがRPA、非定型業務も自動化ができるのがAIだと定義することができます。

近年は、AIとRPAは同じ「自動化」というくくりで脚光を浴びていますが、どちらが良いという問題ではなく、AIとRPAを組み合わせて自動化の対象領域を広げたり、高度化していくことが重要です。

RPAとBPO(業務アウトソーシング)との違い

労働力不足を補うためだけならば、RPAでなくBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)という選択肢もあります。しかし、外部への業務委託では、委託時の業務指導に時間をとられ、委託作業へのチェックのための人件費もかかります。さらに、委託先の担当スタッフが退職すると、また同じ業務指導をやり直さなければならないという負荷もあります。

そのため、24時間365日働き続け、ミスもせず、人的コストも発生しないRPAを導入するほうが効率的という考え方もできます。また、最近では外部委託業者もどんどんRPAを導入しており、オペレーターの工数削減といった効率化を実現しています。

RPAとITシステムとの違い

RPAは、業務を自動化していくツールだと聞けば、RPAとITシステムの違いは何かということになります。

RPAとITシステムは、どちらも業務プロセスを自動化します。しかし、RPAは導入時にプログラミングがいらないため、プログラミング知識を持たない現場担当者だけでも、比較的容易に導入できます。

■RPAと他のシステムやツールとの違い

  業務自動化方法 デメリット
RPA 業務フローを記述してルール化できる業務を自動化 ルール化できない業務は自動化できない
AI 蓄積された膨大なデータを基に、コンピューターが自分で判断し業務遂行する 導入・運用コストが高額となる
BPO
(業務アウトソーシング)
自社内で行っていた業務を、外部業者に委託 委託業務の指導や、専任スタッフ退職の際には引き継ぎをする必要がある
ITシステム 業務を自動化するシステムを開発 システム開発にプログラミングの知識が必要になる

RPAの特徴

RPAの最大の特徴は、グループウェアやCRM、ERPといったITシステムに比べて、比較的リーズナブルにかつ短期間に導入し、効果をだせることにあります。

小規模なものであれば1週間程度で利用を開始できるし、全社的に導入する場合でも1~3ヵ月程度で本格稼働を実現している企業もあります。立ち上がりが早いので、成長企業で業務のルールが頻繁に変更されたり、業務ルールの変更が多いがためシステム化がなかなかできないような変化のスピードが速い企業でも、十分活用できるといった特徴があります。

こうした特徴を持つRPAは、まずは小さな業務からスモールスタートし、成果が上がるようであれば徐々に対象となる業務を広げていって、全社的に導入を果たすというアプローチも可能であり、欧米のような「トップダウン型」がなじまない日本企業にとっては、「ボトムアップ型」で進められるRPAは相性が良いといった専門家の評価もあります。

RPAでできること

RPAは、人間が操作するマウスやキーボードの動きをシミュレートするソフトウェアロボットとしてスタートしました。パソコン操作の自動化から発展したため、パソコンを使った定型業務の代行はRPAの得意とするところであり、経理や人事、総務、財務、調達部門といった定型業務が比較的多いバックオフィスにおける親和性が高いです。

RPA BANKが実施した「RPA利用実態アンケート調査レポート」(2018年11月、有効回答数:772社)によると、経理・財務、情報システム、人事でのRPA活用が多いことが分かっています。

RPAでできないこと

RPAには、人間がその都度考えて「判断」が生じる非定型業務など、できない業務もあります。

しかし、現時点ではできない業務でも、将来的には様々なテクノロジーの進展や連携を通じてできるようになる可能性が増えていくと予測されています。

RPAの進化の過程は3つのクラスに分類できる

RPAは、その進化の過程に応じて、「クラス1」「クラス2」「クラス3」という3つのクラスに分けられています。

参考元:「IoTの先にあるAI労働力(RPA/Digital Labor)時代」(2016年12月7日)KPMGコンサルティング株式会社

現在、RPAのほとんどは、定型業務だけを自動化できるクラス1だ。クラス2、クラス3には、AIと連携する自動学習機能が搭載されるので、これまで人間によってなされていた判断や検討を必要とする非定型業務まで自動化できるようになると言われています。

クラス2、クラス3と、クラスが上がるほど、複雑で高度な作業を自動化できるようになるが、RPAをきっかけに小さなところから自動化に取り組み、RPAで自動化できる範囲、できない範囲の理解を深めながら、他テクノロジーとの連携を通じた自動化の対象領域を広げていくことをお勧めします。

クラス1
RPA(Robotic Process Automation)

クラス1のRPAでは、ルールや手順が決められた定型業務だけを自動処理できます。

イレギュラー対応が不得意なクラス1の導入時は、ロボットの継続的なチューニングが重要です。また、RPAの取組みを通じて、社内にロボットが増えてきた際に、セキュリティやガバナンス(運用管理)など新しい健全な課題がでてくることも知っておくと心の準備ができます。

クラス2
EPA(Enhanced Process Automation)

クラス2のEPAでは、非定型業務まで任せられるようになります。

大量のデータを扱いながら整理・解析し、その結果をまとめられ、AI技術との組み合わせで、自然言語解析、画像解析、音声解析、マシンラーニング(機械学習)もできるようになり、イレギュラーな業務でも柔軟で的確な対応がとれます。

例えば、ビッグデータから顧客の消費傾向を分析したり、用紙で行ったアンケートの結果を集計したり、自由に記述されたアンケートやコールセンターに問い合わせのあった音声データを分析したりするなど、RPAの取組みをきっかけに企業内に蓄積した膨大な非構造化データを活用して、可視化する作業も自動化できるようになります。

クラス3
CA(Cognitive Automation)

クラス3はCAと呼ばれており、情報の整理や分析だけではなく、事業の改善や意思決定まで、高度なレベルで自動化ができるようになります。また、膨大な量の情報を基に、自主的な学習と成長を続けるAIのディープラーニング(深層学習)機能を搭載しています。

クラス3では、季節や天候、気温などに左右される仕入れの管理や、経済・政治情勢を加味した経営判断などが可能となります。それによって、作業プロセスの分析・評価や改善方法の検討、再実施なども行うことができ、人間とほぼ同水準の意思決定を下せるようになると期待されています。

クラス3の実現性については、現在のところ予測は立っていませんが、アメリカの発明家で未来学者であるレイ・カーツワイル氏によって提唱された「シンギュラリティ」によれば、2045年までにはロボットや機械の知能が人間の知能を超え、自己進化していく状態に至る時点が来ることを提唱しています。

RPAのメリット

RPAには「コスト削減」「生産性向上」「売上拡大」という3つのメリットがあります。RPA導入初期は、コスト削減からはじめ、次に生産性向上、そして売上拡大へのステップを踏みながら、RPAの取組みの目的を進化させていくことが大切です。

コスト削減

RPAは、24時間365日働き、休日も休憩時間も有給休暇も必要ありません。また、RPAは職場を辞めることもありません。

RPAを導入することで、単純作業にかかる人件費やアウトソーシング費を抑えることが可能となり、人間にしか対応ができない業務がどこにあるのかが明確になり、「人間とロボットの協働」を前提とした採用活用や人材配置が可能となります。

また、一度ロボットに代替した業務は定期的なメンテナンスやチューニングは必要になるものの、新規採用に伴う人材育成・研修のための費用削減もできます。

大切なことは、定型業務でRPAに置き換えられる業務と、RPAに置き換えられない業務とを整理しながら業務設計をすることで、どのような能力やスキルを持った人材を配置することが必要なのか人材配置が明確になってくるといったコスト削減以上の効果を得ることが可能な点をおさえておきたいです。

生産性向上

人間が単純作業を続けた場合、疲労やミスをしてはいけないといった心理的プレッシャーに伴うヒューマンエラーやケアレスミスをゼロにすることはできません。

しかし、RPAであれば、スピーディに質を落とさず、かつ正確に業務を遂行することが可能なため、生産性向上に寄与することが可能となります。

また、副次的な効果として、従業員は心理的ストレスになっていたヒューマンエラーやケアレスミスから解放され、生産性をあげる業務に集中することができるといった効能も得ることができます。

売上拡大

RPAに定形業務を担わせることで、定型業務を効率化し、人間は企業の収益に直結する業務により専念できるようになります。

例えば、営業担当者であれば営業活動に専念できるようになるため、資料づくりや報告書の作成といった事務処理作業に忙殺されることなく、会社の売上を拡大できるようになります。

RPAのデメリット

RPAを導入することでデメリットも生じる可能性があります。

業務のブラックボックス化

例えば、人事異動や退職などにより、RPAが業務自動化する前の業務プロセスを理解しているRPA担当者がいなくなったとします。その際、新しいRPA担当者に「RPA導入以前の作業手順」も引き継ぎをしないと、業務プロセスの変更が必要になったときに対処できなくなります。

そのため、ロボットの管理体制(担当者や権限管理)や各ロボットの業務内容が把握できるようマニュアルの作成し用意しておくことをお勧めします。いずれはAIによってロボット管理やマニュアル作成の必要性もなくなると予測されますが、現時点ではこうした地道な取り組みも必要です。

悪意ある第三者による攻撃

RPAも、ほかのITシステムと同様に、悪意のある第三者によって攻撃を受ける可能性があります。特に、RPAが複数のシステムと連携している場合は、他のシステムにも悪影響が及んでしまうため、RPA導入後、複数の業務での利用や複数の従業員がRPAの運用に関わるフェーズでは、セキュリティ対策が必要となります。

意外にも誤解されることが多いため補足をすると、RPAソフトウェアで作成したロボットそのものが悪いことをするということはない、ということは理解しておきたいです。

RPAツールには2種類ある

RPAツールは、さまざまな製品が販売されていますが、そのタイプは大きく「サーバー型RPA」と「デスクトップ型RPA」の2つに分かれています。「RPA」と言うとき、狭義では「サーバー型RPA」のみを指し、「デスクトップ型RPA」ツールは「RDA」(ロボティック・デスクトップ・オートメーション)とも呼ばれています。

・サーバー型RPA   :これだけに限定して「RPA」と呼ぶ場合がある
・デスクトップ型RPA :RDA(ロボティック・デスクトップ・オートメーション)

この2つは、人間が処理していた作業を肩代わりしてくれるソフトウェアロボットの「活動場所」に違いがあります。

サーバー型RPA ロボットによる作業の処理にあたり、原則として実行環境(PC)とサーバー間での接続を伴う
デスクトップ型RPA ロボットによる作業の処理が実行環境(PC)だけで完結し、サーバーに接続する必要がない

RPAタイプ別の代表的RPA製品

RPAタイプ別の、代表的なRPA製品は以下になります。

・サーバー型RPA製品
Automation Anywhere 、BizRobo! Basic、Blue Prism、など

・デスクトップ型RPA製品
RPA MinoRobo 、WinActorなど

・サーバー型/デスクトップ型RPA両用製品
Pega Robotic Automation 、UiPath 、WinDirectorなど

・クラウド型(SaaS型)RPA製品
BizteX cobit、BizRobo! DX Cloud、WinActor Manager on Cloudなど

RPA導入のための費用

RPAは、導入時に既存システムを改変する必要はない。プログラミングも行う必要はないため、導入時のコストはRPAツールの購入費用(またはライセンス料)だけとなります。

RPAツールの初期導入コストは、年間90万円程度から数千万円と製品によって大きく異なり、価格体系についてもソフトウェアのタイプに応じて異なり、また契約期間、支払い方法なども様々です。

ここでは、おおまかな導入コストを紹介します。

RPAを購入する費用は?

RPAツールは、一般的に3つのモジュールから構成されています。

製品ごとに3つのすべてか、あるいは一部がセットになっています。

エディタ 自動化の設定を行う機能を持つ
ソフトウェアロボット 実際に稼働するロボット
ロボット管理機能 ロボットをコントロールする

RPAの最小構成は、デスクトップ型の「エディタ+ソフトウェアロボット」のセットで、年間数十万円程度から導入することが可能です。

サーバー型の「ソフトウェアロボット+ロボット管理機能」のセットになると、年間数百万円以上の費用がかかるようになります。

さらに、パソコンやサーバーの台数に比例してライセンス料がかかる。そのため、ロボットが数十台以上の大規模な導入となると、年間数千万円以上の費用になることもあります。

RPAの料金プラン

料金プランについては、月額課金制になっているRPAツールが多く、パソコンまたはサーバー1台に対するライセンスとなっているケースが大半です。

RPAを上手に導入するための2つのポイント

RPA導入で陥りがちなケースとして導入自体が目的となってしまい、「RPAツールが良くない」といった理由を筆頭にRPAをすぐにあきらめてしまうケースがあります。

そういった事態を招かないためにも、RPA導入目的を経営層とRPA推進を担う現場、両者のコンセンサスを図ることが導入を円滑に進める大切なポイントとなります。

経営層とのコンセンサス

経営層とは、RPA導入する際に、経営目標、経営戦略の中でRPAが果たす役割を明文化する必要があります。多くの企業がRPAを導入していることを受けて、位置づけや目的を明確にしないまま導入に踏み切ってしまうケースが少なくありません。

とりあえずの目的として昨今の「働き方改革」の一環として取り組んでみたものの、失敗を招いているケースも出ています。

例えば、3か年の中期計画で10億円のコスト削減とする経営目標がある時、その実現手段としてRPAの活用を提言していきます。経営目標の「10億のコスト削減」は、「〇%の処理自動化」に置き換えられ、RPAの果たすべき役割が明確化されます。

RPA推進現場部門とのコンセンサス

RPAを推進してもらう現場部門には、経営目標、経営戦略の中でのRPAの果たす役割を共有しながら、それだけでは日々忙しく、また眼前の課題を抱えながら業務を遂行している現場部門には響かないため、現場が抱える目の前の課題を解決するためにRPAが有効であることを伝えることが大切になります。

例えば、3か年の中期計画で10億円のコスト削減が経営目標としてある時、現場部門には〇〇%の業務効率化が目標として課されており、RPAで補うことができる可能性があること、またすでに成功している具体的事例を示すことで現場部門にも取り組みのイメージを持ってもらい、取り組みの意義にも理解が生まれます。

また、現場説明会を実施し、RPA化対象業務を選定して「可能性」を定量目標化し、定量目標とRPA導入の価値が共有化できれば、体制作りや具体的なPOC業務選定等、目標感を共有することでRPAの推進力が生まれます。

さらに、RPAにまだ馴染みのない場合は、デモ動画を見せることで、RPAの威力を実感してもらうことも有効となります。

その他、よく聞かれる質問や不安として「RPA導入は現場の仕事を奪うのではないか」といった懸念が出た場合には、下記のような共有が大切となります。

「RPAは従業員の仕事を奪う敵ではない。RPAは従業員が忙しい時、あるいは面倒でやりたくないような単純な作業を代行してくれる「相棒」あるいは「優秀な部下」なんです」

従業員はより付加価値の高い業務に徐々に移行していくことも合わせて共有する必要がありますが、付加価値の高い業務にシフトする過程においては、おそかれはやかれ従業員自身のスキルのアップデート(人材教育)が求められることも合わせて話をしておくことが大切です。

RPA導入の範囲

RPAを導入して効果が上がりやすいのは、定形業務の中でも以下のようなものが効果を出しやすいです。

項目 RPAに向いている RPAに向いていない
作業時間 長い 短い
作業難易度 単純 複雑
作業ボリューム(負荷) 多い(高い) 少ない(低い)
作業頻度 多い 少ない

気になるRPAの導入事例とその効果

国内でも、大手を中心にして多くの企業でRPA導入事例があります。参考となるケーススタディとして見ておきましょう。

日本生命保険

「日生ロボ美」と名付けたRPAを導入。1件あたり数分かかっていた処理が20秒程度に短縮できたほか、単純ミスが発生する可能性もなくなりました。

【RPA導入前の課題】
請求書のデータをシステムに入力する作業に時間がかかり、ほかの業務に時間を割くことができていませんでした。また、単純処理が続くために集中力を欠き、ミスが発生する可能性もありました。

【RPAによるソリューション】
保険契約者から郵送される保険金の請求書に記載されている、「約10桁の証券記号番号」を入力する業務にRPAを導入しました。その結果、RPAが必要な社内システムを横断し、データの収集から業務システムへの入力までを代行。職員は証券記号番号をスキャンするだけとなり、業務効率化を実現しました。

【RPA導入による効果】
RPAの導入により、1件あたり数分かかっていた処理が20秒程度に短縮できたほか、単純ミス発生の可能性がなくなりました。パターンに応じた柔軟な対応が必要な業務など、人間にしかできない業務にマンパワーを割けるようになりました。

オリックスグループ

1体で4人分の仕事を代行できるロボットを、ITに精通していない社員がわずか1週間で開発しました。

【RPA導入前の課題】
約800人の社員が、グループ12社から寄せられる多様な事務処理を分担して請け負っていたが、処理量が急激に増えると対応しきれないことがありました。しかし、その事務処理の内容はさまざまで、常に一定量の依頼があるわけではないため、担当人員を増やすわけにはいきません。また、業務部門の担当者はITに精通してないために、複雑なシステムを新規導入することは避けたい事情がありました。

【RPAによるソリューション】
単純作業の処理はRPAに任せて、人間は即時の判断が求められる事務処理を担うといったように、RPAと人間との役割分担をしました。

【RPA導入による効果】
RPAに任せたい事務処理の手順を登録する方法さえ覚えれば、ITに精通していない担当者でも1週間ほどでロボットを開発することができました。あるケースでは、4人の担当者が行っていた業務を、ロボット1体で代行できるようになり、人件費とコストを大幅に削減できました。

サッポロビール

RPAの導入によりPOSデータのダウンロードの自動化を実現しました。

【RPA導入前の課題】
POSデータ分析が、営業担当者や取引先の小売店に対して、販売チャンスの発掘や実施した施策の検証などの情報提供を行う、重要な営業ツールとなっている同社。顧客である大手小売業グループが、2012年から専用サイトでPOSデータの開示を開始したことに合わせて、その企業のPOSデータを手作業でダウンロードしていました。

しかし、データをダウンロードするには、1社あたり1日約1時間かかるほか、20を超えるカテゴリーを手作業で抜き出す必要があったことから、ヒューマンエラーも発生していました。

【RPAによるソリューション】
RPAを導入してダウンロード作業を自動化しました。また、作業工数の抑制のために、一部カテゴリーは週次の取得にとどめていましたが、RPA導入後はすべてのカテゴリーで日次の取得ができるようにしました。

【RPA導入による効果】
POSデータを1社あたり平均約30分でダウンロードできるようになり、自動で日次の取得ができるようになった結果、社員はよりきめ細やかな分析や提案に集中できるようになりました。RPA導入による労働時間の削減効果は、年間約5,700時間、金額換算で約1,100万円にも達するようになりました。

三菱UFJ銀行

20種類の事務作業に対してRPAを導入したことにより、約8,000時間分の事務処理作業の削減を実現しました。

【RPA導入前の課題】
煩雑な事務処理作業が大量にあり、業務が非効率となっていた一方、それらの作業に対してITシステムを導入するには、「コストがかかりすぎる」という判断から手作業を継続してきました。

【RPAによるソリューション】
パソコンを用いて、一定のルールに基づいて行われる20の作業にRPAを導入しました。一定時間ごとの処理が求められる業務については、データチェック時間を定めて自動化を実施しました。

【RPA導入による効果】
20種類の事務処理に対してRPAを導入したことで、年間約8,000時間分(1人1日8時間労働で計算すると約1,000日分)の事務処理作業を削減。業務を効率化したことで、事務処理を担当していた社員が他の重要な作業に時間を割けるようになりました。

また、複数のシステムを利用し実行していた事務処理にRPAを適用することで、システム連携による業務の単純化も視野に入れられるようになりました。

上記の事例からわかるように、RPAを導入した企業は業務効率を改善し、コスト削減や生産性の向上を実現しているケースが多いです。

生産性の向上は、日本企業の重要な経営課題となっていますが、生産性向上のきっかけとしてRPAは有効な手段と言えます。RPAをきっかけに見えてくる業務オペレーションの課題、組織体制の課題、RPA以外に取り入れた方がよいテクノロジーなど新たな気付きを通じて、生産性向上を加速している企業とそうでない企業で二極化がはじまっています。

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RPAの適用業務とおもな導入事例

RPA導入で働き方はどう変わるのか?

現在、大中小を問わずさまざまな企業に導入されつつあるRPA(Robotic Process Automation)。まだできることは限られていますが、将来的にはAIなど高次のテクノロジーと組み合わさることにより、より複雑な仕事を担えるようになります。

先にも記述しましたが、アメリカの発明家で未来学者であるレイ・カーツワイル氏は、2045年までにロボットや機械の知能が人間の知能を超える「シンギュラリティ」に到達すると予測しています。

人とロボットが協働する時代の到来を見据え、組織・個人ともにビジネスを取り巻く環境が変化していく中、変化への柔軟性と、リカレント教育に代表されるようにスキルやノウハウの継続的なアップデートが必要となります。

最後に

RPA自体はツールであり手段でしかありません。しかし、RPAをきっかけに、今後加速的に高度なテクノロジーとの結びつきながら、「ヒトとロボットが協働する世界」が到来するイメージを持っていただけたのであれば幸いです。

RPAの取り組みを通じて明日からのビジネスの競争力を高めながら、また少し先にも視線を置いて、変わる組織の在り方ヒトの役割についても多くの議論が活性化されればうれしく思います。

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