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【決定版】RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)とは?

RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)とは?

RPAの意味

RPAとは、「Robotic Process Automation(ロボティック・プロセス・オートメーション)」の頭文字から取った略語だ。日本語では、「ロボットによる業務自動化」という意味になる。ただし、ロボットといっても、多くの人がイメージする人型ロボットや、工場内で単純作業に従事する産業用ロボットのようなブルーカラーの業務を代行するロボットとは異なる。どちらも人間の仕事をロボットにやってもらうという概念は同じなため、「RPAのロボットと産業用ロボットの違いは何?」という疑問がわくかもしれない。しかし、その使用目的が異なるというだけだ。

産業用ロボットは専用のハードウェアを持っており、工場労働者の手や足など、人間の体の一部の動きを代行して自動化してくれるものである。それに対してRPAでいうロボットとは、おもにバックオフィスにおけるホワイトカラー業務を代行するものだ。アプリケーション操作やシステム画面を識別し、人間と同じように作業ができる「ソフトウェアロボット」のことを指しており、ハードウェア自体は持ち合わせていない。単純作業やルーティン作業は工場内だけでなく、事務作業にもたくさんある。そうした事務的な作業を自動化するのがRPAなのだ。

RPAのしくみは、これまでは人間が目視して行っていたディスプレイ画面上の作業に対して、ルールを登録しておくだけで自動的にそれを再現して処理ができるというものである。これまでロボット化が進んでいたのは、工場のライン業務など製造業の現場が中心だったが、RPAではその活動範囲を請求書の処理やコールセンターの業務など、ホワイトカラーの事務的な業務へと拡大するものとして期待されている。

RPAに向いている仕事とは

RPAはおもに定型業務を自動化するものだが、ある決まったワークフローに基づいて処理される事務作業についても、ソフトウェアロボットにより自動化できるようになる。これまで、いくらITシステムが進化したとしても、それを操作するためには人間がマウスやキーボードなどの入力装置を使用して、入力作業を行う必要があった。また、昨今ではITが普及し、パソコンを使って仕事をすることが当たり前となって、一見、クリエイティブな仕事をしているように感じることがあるかもしれない。しかし、実際にやっていることは、ファイルをコピー&ペーストしたり、定型的なメールの返信をしたり、数値を入力したりと、単純作業も多くある。RPAとは、そうしたこれまで人間が手で入力し操作してきた定型業務を代行し、自動的に処理してくれるプログラムなのだ。

RPAは、おもに事務職の人たちが毎日のように行う業務の「動作」を記録して、その動作を再現し、自動的に作業を繰り返す。そのために、「反復が多い作業」「データ量が多いもの」「工数や利用するソフトウェアが多い作業」などの定型業務で力を発揮し、導入の効果が期待される。

例えば、受注業務や伝票記入業務、ダイレクトメールの発送業務、電話・メールなどで受けた問い合わせ履歴の管理、顧客管理システムや在庫管理システム、ERP(基幹業務システム)、SFA(営業支援システム)などへのデータ入力、顧客データのフィルタリングやチェックなど、「一度教われば誰でもできるけれども、手間がかかる業務」こそ、RPAが最も得意なことなのである。

このRPAの利便性に最初に注目したのが、顧客向けの定型的な事務作業が多く発生する金融業やサービス業だ。これまで膨大な人手と時間をかけて行っていた仕事を自動化することにより、導入先の企業に大きな経済効果を生むことができる。しかも、経理や総務、人事といった間接部門では、必ず定型的な事務作業が発生するので、現在では業界を問わず、導入が進みつつある。RPAは、労働力不足を補う手段としてアメリカやヨーロッパで先行して普及しているが、日本でももっと普及させていこうという動きがある。

デジタルレイバーとも呼ばれるRPA

RPAは、「デジタルレイバー(Digital Labor)」とも呼ばれている。日本語で意訳すると「仮想知的労働者」。コンピューターに対して「一度、その仕事のやり方を教えれば、労働者のように仕事をしてくれる」ということから、このようにも呼ばれている。労働者といっても、デジタルレイバーの実体はソフトウェアだから、24時間365日稼働していても、ミスはせず、文句も言わず、退職もしないことから、多くの企業で注目され始めている。

しかし、気を付けておきたいのは、「デジタルレイバーはシステムではない」ということ。業務システムや基幹システムのように導入してすぐに使えるのではなく、デジタルレイバーに代行させる業務を覚えさせていくプロセスが必要だ。そのため、デジタルレイバーはソフトウェアではあるけれども、導入して使いこなしていくまでには、ある意味「新入社員」を迎えて仕事を教えていく研修期間を持つような感覚が必要である。というのも、デジタルレイバーを導入したときには、任せる範囲の手順を明確に指示しておく必要があるからだ。そして、現場の作業手順が変わる度に、それをデジタルレイバーに反映させるカスタマイズ作業も必要となってくる。導入後もチューニングを続けていくことで、うまく使いこなせるようになるというわけだ。また、導入の成果を出して、それを維持していくためには、デジタルレイバーを管理する側の意識や体制の変革も必要となる。

ただし、一度その運用が軌道にのっていけば、デジタルレイバーに任せられる業務の範囲は徐々に広がっていく。また、その時々の最新状況に合わせた作業手順のアップデートも容易となる。「まずは簡単な作業から任せていき、それに慣れてくれば作業効率が上がり、応用が利くようになる」といった点では、新入社員にOJTで仕事を教えながら育てていく過程とあまり変わりがないともいえる。

RPAと他の業務効率化ツールやサービスとの違い

ここまで読まれて、「RPAとAI(Artificial Intelligence/人工知能)とは、どこが違うのか?」と思われた方がいるかもしれない。RPAもAIも、コンピューターに作業を自動処理させることには変わりがないからだ。

しかし、こう考えるとその違いが理解しやすいだろう。RPAは業務フローを人の手により記述して、ルール化できる処理作業だけを自動化する。それに対してAIは、蓄積された膨大なデータをコンピューターが参照して、その都度処理作業を判断する。いわば、ルールベースで自動化するのがRPA、判断ベースで自動化するのがAIだと定義することができるのだ。

また、RPAに似ている用語として、RDA(Robotic Desktop Automation/ロボティック・デスクトップ・オートメーション)があるが、やはり違いがある。RPAが複数のアプリケーションを用いて業務プロセスを自動化していくのに対し、RDAは担当者個人のパソコンに導入してデスクトップ上の操作を自動化していくものである。キーボードやマウスの操作など、従来は人が行っていた作業を自動化するという点ではRPAと変わらない。しかし、RPAがサーバーで連携して広範囲の業務プロセスを共有できるのに対して、RDAはそのパソコン単体で完結するものなので、その機能も担当者個人のスキルやカスタマイズに大きく左右される。

それから、労働力不足を補うためだけなら、「RPAでなくBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング=業務プロセスの外部委託)でもいいのではないか?」という意見があるかもしれない。しかし、BPOによる外部委託先は、あくまで人手による作業を行っている。そのため、委託する業務の指導に時間がかかったり、専任スタッフの退職で業務の引き継ぎを行ったりなど、人的リソースが必要になる場合がある。また、委託していた作業に対してはチェックが必要であり、その人件費もゼロではない。その点で、24時間365日働き続けてミスもしないRPAのほうが、効率的と考えられる。ただし、BPOの現場でも、最近では率先してRPAを導入しており、オペレーターなどの工数の削減を実現している。

RPA市場が注目される背景

RPAは、元々は海外の企業で2015年頃から注目され始めた。海外の企業では日本よりも業務効率化に対する意識が高く、BPOの導入が盛んだった。そこで、そのBPO事業者が自社業務をさらに効率化させるために、RPAを導入し始めたのが普及のきっかけだ。

しかし、労働力人口の減少が叫ばれている日本こそ、RPAを普及させる必要があるとされている。内閣府「平成29年版高齢社会白書」によれば、日本の総人口に占める65歳以上の人口の割合(高齢化率)は、すでに27.3%(2016年10月現在)にも上っている。世界でも類を見ない超高齢社会となっており、しかも今後さらに高齢化が進み、2065年には2.6人に1人が65歳以上、4人に1人が75歳以上になると予測されている。また、国立社会保障・人口問題研究所「日本の将来推計人口(平成29年推計)」では、2015年には7,728万人だった日本の生産年齢人口(15歳以上65歳未満の人口層)が、2065年には4,529万人となると予測されている。将来的にはさらに日本の労働力人口の減少が進むと予測されるため、RPAの導入は必須といってもいいだろう。

高齢化の推移と将来推移

その労働力人口の減少をカバーするために、現在は女性労働力の活用や定年の延長、未就業者の就業支援、外国人労働者の受け入れといった施策が検討・実施されている。しかし、それだけで追いつかないほどのスピードで人手不足が進行している。その解決策として、大きな注目を集めているのがRPAというわけだ。

労働生産性向上の切り札であるRPA

日本では現在、政府の主導により「働き方改革」が進められている。労働力人口の減少が想定以上に進んでいることを背景に、「女性や高齢者の活用で働き手を増やす」「出生率を上げる(将来、働き手になる人を増やす)」「労働生産性を高める」の3つを中心に取り組んでいる。その中でRPAは「労働生産性を高める」という項目に貢献できるため、注目されているのだ。

製造業(工場のライン業務など)では、人間の労働を補完するものとして産業用ロボットの導入が進んできた。しかし、ホワイトカラーの労働環境においては、いまだに長時間残業も多く、労働力人口が減少していけば、それがさらに続いていくことになる。それでは、労働生産性を高めていくことは困難だ。日本の労働生産性は、OECD加盟国35ヵ国の中で20位、主要7ヵ国の中では最下位だ(日本生産性本部「労働生産性の国際比較 2017年版」)。このような現状を打破すべく、救世主のように期待されているのがRPAなのである。

主要先進国7か国の時間あたり労働生産性の順位の変遷

RPAを導入することで、ルーティンワークとなる事務作業はデジタルレイバーに任せれば良くなる。企業の業務はデジタル化が進んでいるとはいえ、延々と受注データをダウンロードしてファイル名を変え、システムにアップロードしていくというような単純な仕事も多く残っている。

しかし、手書きのデータではなく、すべてがデジタルデータであるならば、そうした単純作業はデジタルレイバーに任せられるわけだ。単純作業を自動化するためのプログラムを独自に開発することでも解決はできるが、それでは開発費がかかったり、システムの変更が必要になったりする。そこで、人がそれまで行っている手順どおりに作業を行わせるプログラムを簡単に実施できるツールがRPAなのだ。RPAを導入することで、人の判断が必要となるクリエイティブな仕事だけに集中でき、無駄な残業時間が減ると期待されている。

近年はAIが注目されていることから、同じ「自動化」というくくりで、RPAも脚光を浴びている。しかし、どちらが良いかではなく、「システム自体がみずから判断ルールを見つける」AIと、「人手によってルールが付与される」RPAをうまく組み合わせて導入することが重要なポイントとなる。AI自体がRPAにも組み込める技術であると理解した上で、RPAに注目していきたいものだ。

RPA市場のこれから

日本におけるRPA市場は、まだまだスタートしたばかりだ。それでも、RPAの市場規模は急伸しており、2016年度の42億円から2017年度の173億円(ミック経済研究所調べ)と対前年比で約412%も拡大している。そして、2018年は「日本のRPAは本格化する」と日本RPA協会代表理事の大角暢之氏は話している。また、アイ・ティ・アール(ITR)の調査(2016年)では、RPA市場は2018年に5倍強の44億円、2021年度には10倍強の82億円の市場に急成長すると予測している。

しかし、このようにRPA市場が急成長すると、やはり「RPAによって自分の仕事がなくなるのではないか?」という心配が頭に浮かんでくるかもしれない。事実、野村総合研究所が2015年12月に発表したレポートでは、「日本の労働人口の約49%が、技術的には人工知能やロボットなどにより代替できるようになる可能性が高い」と推計。また、海外に目を向けると、マッキンゼー・アンド・カンパニーが、「2025年までに全世界で1.1億人~1.4億人に相当するホワイトカラーの知的生産労働が自動化されていく」と予測している。

このような推計や予測を読むと、「やはりロボットに仕事を奪われて大量の失業者が発生するのでは?」と危惧する方もあるかもしれない。しかし、そうではない一例を挙げてみよう。日本生命保険では、2016年4月にデジタルレイバーを「日生ロボ美」と名付けて社員として入社させた。同社ではこれまで、郵送されてくる保険金の請求書を人間の目で読んで手入力をしていた。その作業を日生ロボ美に任せたわけだ。

その後、請求書を手入力していた社員が失業したかというと、そうではない。仕事の内容をイレギュラーな契約パターンへの対応など、人間でないと判断ができない業務へと変えていったのだ。このように、RPAの導入によって人間の仕事が奪われるのではなく、むしろ仕事のクオリティを高める結果となった。

RPAの特徴・できること

今後のビジネスにおいて、導入は必須となっていくRPA。ここからは、RPAの具体的な機能の特徴と、導入することによって可能となるさまざまな仕事について見ていこう。

RPAの特徴

RPAの特徴は、グループウェアやCRM、ERPといったITシステムとは異なり、すぐに導入できることである。小規模なものであれば1週間程度で利用を開始できるし、全社的に導入する場合でも1~3ヵ月程度で本格稼働できる。

また、「まずは小さな業務からスモールスタートし、成果が上がるようであれば徐々に対象となる業務を広げていって、全社的に導入を果たす」というアプローチも可能だ。立ち上がりが早いために、スピード感が求められるビジネスでも十分に活用できるといった特徴がある。

RPAでできること

RPAは元々、人間が操作するマウスやキーボードの動きをシミュレートするソフトウェアロボットとして開発がスタートした。人間の代わりにパソコン操作を自動化することから発展しているため、RPAでできることはパソコンを使った定型業務の代行となる。だから、経理や人事、総務、財務、調達部門といったバックオフィスの事務業務の代行は、RPAが最も得意とするものなのだ。例えば、請求書や注文書の発行業務や経費精算の業務など、複数のアプリケーションを人手で起動し実行していた一連の流れも、RPAで自動化することができる。

また、顧客からの問い合わせに対しての定型メールの返信や、電話の自動応答といったコールセンター業務も、RPAで自動化することができる。例えば、RPAを活用すれば、電話での自動応答システムやメールで届いた問い合わせに対して、それぞれの要件に該当する定型の返答メールを検索して適宜返信するといったことが実現できる。

ほかにも、情報収集や分析などのモニタリングプロセスもRPAで自動化することができる。あるいは、定期的なシステムメンテナンスや、障害発生時の原因調査といったことにも対応可能だ。RPAツールには、以下のような機能が一般的に搭載されている。どれだけ便利なのかがわかるのではないだろうか。

  • キーボードやマウスなど、パソコン画面操作の自動化
  • ディスプレイ画面に表示された文字列、図形、色の判別
  • IDやパスワードなどの自動入力
  • アプリケーションの起動や終了
  • スケジュールの設定と自動実行
  • 蓄積されたデータの整理や分析
  • 条件分岐設定やAI機能による適切なエラー処理と自動応答
  • 業種、職種、現場の条件に合わせた柔軟なカスタマイズ
  • ノンプログラミングによる作業手順の設定
  • システムの異なるアプリケーション間のデータの受け渡し
  • 社内システムと業務アプリケーションとのデータ連携

RPAでできないこと

もちろん、RPAでできない業務もある。それは人間が、その都度考えて判断しなければいけない業務や、何かに配慮して判断しなければいけない業務で、いわば非定型業務といえるものだ。ただし、RPAは現在まだ発展途上のテクノロジーである。現時点はできない業務でも、将来的にはできるようになるかもしれない。

2018年時点のRPAは、後述する「クラス1」というレベルになる。しかし、次期レベルである「クラス2」では、AIと連携して非定型業務でも一部は自動化されるようになる見込みだ。さらに、最終段階である「クラス3」に到達すると、より高度なAIと連携することで、業務プロセスの分析や改善だけでなく、意思決定までを自動化できるようになるといわれている。

RPAのクラスとは

RPAでは、その機能やできる作業の難度に応じて、3つのクラスに分けられている。2018年現在、RPAと呼ばれているものの大半は、定型業務だけを自動化できる「クラス1」となっている。しかし、「クラス2」と「クラス3」にはAIと連携する自動学習機能が搭載されるようになるので、これまで人間によってなされていた判断や検討も含んだ非定型業務まで、踏み込んで自動化できるようになる。

もちろん、クラスが上になればなるほど、複雑で高度な作業を自動化できるようになるが、それとともに導入コストや運用コストも増加するようになる。だから、RPAに与える業務の難度や求める判断レベルに応じて、最適なクラスを選ぶ必要がある。

クラス1
RPA(Robotic Process Automation)

決められた業務を自動処理できる。おもにルールエンジンや画像認識、座標取得、業務フロー管理などの機能が搭載されている。判定基準や対処方法を細かく設定しておくことによって、さまざまなイレギュラーの状況にも対応できるようになる。しかし、設定されていないイレギュラーな状況に対しては、一切対応することができない。決められたこと以外はできないため、RPAの導入時にはリスクの洗い出しと分岐条件の設定、リスクへの対処方法の設定などを、事前に十分行っておかなければならない。

クラス2
EPA(Enhanced Process Automation)

大量のデータを扱いながら整理・解析し、その結果をまとめることができる。また、AI技術との組み合わせで、自然言語解析、画像解析、音声解析、マシンラーニング(機械学習)もできるようになり、イレギュラーな業務でも柔軟で的確な対応がとれるので、非定型業務まで任せられるようになる。例えば、ビッグデータから顧客の消費傾向を分析できる。あるいは用紙を回収してとったアンケートの結果を集計したり、自由に記述されたアンケートやコールセンターに問い合わせのあった音声データを分析したりするなど、企業内に埋もれていた膨大な非構造化データを活用して可視化する作業も自動化できるようになる。

クラス3
CA(Cognitive Automation)

クラス3になると、情報の整理や分析だけではなく、事業の改善や意思決定まで、高度に自律化した業務を自動化できるようになる。膨大な量の情報を元に、自主的な学習と成長を続けるAIのディープラーニング(深層学習)機能を搭載している。それにより、季節や天候や季節、気温などに左右される仕入れの管理や、経済・政治情勢を加味した経営判断など、常に最良の判断を導き出す。また、作業プロセスの分析・評価や改善方法の検討、再実施なども行う。クラス3ともなれば、人間とほぼ同水準の意思決定をRPAが実施できるようになる。

上記のクラスを簡単に言い換えれば、「指示されたとおり忠実に動くだけ」のロボットがクラス1、「指示を踏まえながら、みずから考えて自律的に動く」ロボットがクラス2やクラス3であるということになる。

RPAのメリットと効果

RPAを導入することで、さまざまな業務の自動化・効率化が可能となる。では、ビジネス的に得られるメリットはどのようなものがあるのだろうか?

大きく分けて、「売上の拡大化」「コスト削減」「生産性の向上」という3つの項目が挙げられる。

売上の拡大化

RPAでは、業務に必要な時間を削減しながら、品質は落とさないで済むという強みがある。RPAに作業を担わせることで定型業務を効率化しながら、従業員は人間にしかできない業務に専念できるようになる。例えば、営業担当者であれば、資料づくりや報告書の作成といった事務処理作業に忙殺されることなく、営業活動に専念できるようになるため、会社の売上を拡大できるようになるわけだ。

コスト削減

RPAはデジタルレイバーであり、24時間365日働き続けることもできるため、休日も休憩時間も有給休暇も必要ない。また、データを高速に処理できるため、導入するRPAのクラスやツールにもよるが、処理可能な仕事量は人間2~5人分から数十人分に相当する。人件費を大幅に削減できるだけでなく、人間のように退職することもないため、人材採用や教育・研修のためのコストもカットできる。

例えば、フルタイムの派遣社員を雇うのと比べて、RPAの導入と維持にかかるコストは一般的に3分の1に削減できるといわれている。派遣社員20名でこなしていた業務を、RPAと派遣社員4名程度で行えるようになった場合、派遣社員の給与額およそ月600万円(月30万円×20名分)の人件費を、およそ月120万円(月30万円×4名分)へと圧縮できるようになる。

生産性の向上

人間が単純作業を続けた場合、どんなに簡単な内容だとしても、ヒューマンエラーやミスをゼロにすることはできない。そのため、ヒューマンエラーやミスをチェックする人員も必要となる。その点、RPAなら24時間働き続けたとしてもエラーやミスはゼロであり、生産性の向上に寄与してくれる。また、ミスに対するフォローやリカバリーの時間をなくすことができるので、従業員が本来の業務にだけ専念できるようになる。

そのほかのRPAの効果

RPAによる効果は、直接的なものだけではない。RPAによってヒューマンエラーがなくなるということは、過失による思わぬ情報漏洩、人為的な個人情報や機密情報の流出などを未然に防げるということだ。また、従業員による独断と偏見によるコンプライアンス違反といったトラブルもなくすことができる。

また、RPAの導入によりルーティンワークから解放された従業員には、新たなヒューマンリソースが生まれることになる。そのヒューマンリソースを活用することでイノベーションが新たに生まれるなど、企業はよりアグレッシブな経営戦略を構築できるようになる。

さて、ここまでRPAのメリットを書いてきたが、デメリットはないのだろうか?その答えは、適切な業務にRPAを導入する限り、デメリットはないといえる。しかし、本来RPAの必要がない業務に無理矢理導入したり、非定型業務が中心の事業に導入したりすると、RPAのメリットは感じられず、コストだけが増大することになる。そのため、全体の業務を把握している者が、RPAの導入にも深く関わっていく必要がある。

RPA導入のポイント

RPAでできることは、ソフトウェアロボットを利用して業務プロセスを自動化することだ。しかし、RPAの対象となる業務プロセスを日頃から定義している企業は、そう多くはない。そこで、RPAを導入する前に、自社で人手に頼っている作業をリストアップしていく必要がある。いわば、業務の棚卸をするわけだ。棚卸をしていくことで業務の流れを「見える化」することができ、どの業務を自動化して改善すればいいのかが明らかとなってくる。また、業務の棚卸をリスト化して、改善すべき業務が明らかになると、どの業務からRPAを導入していけばいいのかも明確になってくる。

RPA導入時に気を付けたいこと

RPAを導入する際に気を付けたいのは、RPAツールの選定だ。RPAツールはさまざまなものが販売されているが、そのタイプは大きく2種類に分かれる。

 

1つは、ソフトウェアロボットをサーバー上で管理して、操作が必要なパソコンをソフトウェアロボットが操作するRPAツールである。操作されるパソコンが固定されることがなく、業務フローに合わせて必要なパソコンを操作できることから、柔軟に業務を進めることができる。業務レベルで自動化はしやすいが、初期コストもある程度大きくなるほか、導入にやや時間が必要になる。

2つめは、パソコン単位でソフトウェアをインストールして使うRPAツールである。このツールは、ソフトウェアロボットの操作対象がインストールされているパソコンのみに限定される。そのため、RPAとして販売はされているが、実質的にはデスクトップのレベルで自動化するRDAとなる。導入の初期コストは抑えられるが、業務レベルで自動化するには、各パソコンを連携させるなど、別の処理が必要となってしまう。

RPA導入のためのコスト

RPAは、人間のパソコン操作を代替するだけのツールだ。そのため、既存システムを改変する必要はない。作業自体を再現すればいいだけなので、プログラミングなども行う必要はなく、導入時のコストはRPAツールの費用だけとなる。

そこで気になるのはRPAツールの価格だが、初期導入コストが20万円程度から数千万円と、製品によって大きく異なる。価格体系についても、ソフトウェアのロボット数に応じて支払うタイプや、年間契約の単位で支払うタイプ、モジュール別に支払うタイプなど、さまざまだ。なお、RPAツールは、自動化の設定を行う機能を持つ「エディタ」と、稼働する「ソフトウェアロボット」、そしてロボットをコントロールする「ロボット管理機能」という3つのモジュールから構成されている。また、ソフトウェアロボットには、パソコン上だけで稼働するRDAタイプと、サーバー上で稼働するRPAタイプの2つに分かれている。

これらのモジュールは、ツールによって「エディタ」「ソフトウェアロボット」「ロボット管理機能」のすべてか、あるいは一部がセットになっている。最小構成は、「エディタ」+「RDAタイプのソフトウェアロボット」で、年間数十万円程度から導入することが可能だ。ただし、「RPA(サーバー)型ソフトウェアロボット」と「ロボット管理機能」のセットになると、年間数百万円以上の費用がかかるようになる。さらに、ソフトウェアロボットの台数を増やしていけば、それに比例してライセンス料がかかる。そのため、ロボット10台以上の大規模な導入となると、年間数千万円以上の費用になることもある。

なお、料金プランについては月額課金制になっているRPAツールが多く、パソコンまたはサーバー1台に対するライセンスとなっているケースが大半だ。ただし、1台のソフトウェアロボットに入れられる自動化プロセスについては、無制限となっている場合が一般的だ。

RPA導入の範囲

自社でRPAを導入するかどうかについては、その企業に以下のような業務が存在していることが前提となる。

  • 作業時間の長い業務(1回あたりの作業時間、作業頻度、作業者の人数の積などが単純に多い業務)
  • 同じような作業が反復して発生している業務
  • 作業時間が就業時間外となってしまう業務
  • 作業時間が限定的で、ほかの作業を中断して行わなければならない業務
  • 作業者が要望する業務(所要作業時間そのものはそれほど多くないものの、作業難度や作業負荷の高い業務)

また、以下のような領域であれば、RPAの導入効果も現れやすいだろう。

  • 一作業あたりの業務量が多い
  • 作業の発生回数が多い
  • 業務判断をルール化できる
  • 複数のシステムにまたがってデータを扱う
  • イレギュラーな対応が少なく、業務が安定している
  • インプットしたデータが構造化されている

RPAの導入効果を高めたいのであれば、自社に上記のような業務および領域があるかどうかを視野に入れて、検討していくことをおすすめしたい。

RPAの導入事例

すでに多くの企業でRPAの導入事例がある。

・日本生命保険

RPAの導入事例として最も有名なのは、前述した大手生命保険会社である日本生命保険の「日生ロボ美」だ。請求書データのシステム入力作業を担当する「社員」として、日生ロボ美と名付けられたRPAが配属されている。同社では、保険契約者から郵送される保険金の請求書に記載されている約10桁の証券記号番号を入力しなければならない。その業務をロボ美が担当している。

ロボ美が入社したことで、それまで業務にあたっていた職員は、証券記号番号をスキャンするだけで良くなった。RPAが社内システムを横断し、データの収集から業務システムへの入力までを代行できるようになった。その結果、1件あたり数分かかっていた処理時間が、20秒程度に短縮。それで浮いた人的リソースを振り分けて、「パターンに応じた柔軟な対応が必要な業務」など、人間でなければできない仕事にマンパワーを割けるようになった。

・大和ハウス工業

住宅総合メーカーである大和ハウス工業でも、RPAを導入することで定型業務の効率化を図った。同社では、「下請け工事の発注先となる協力企業が、適切な建設業許可を持っているかどうか」を確認する作業を、それまで担当者の知識や経験だけで行っていた。

そこで、国土交通省のサイトから建設会社の許可情報を自動的に取得するロボットをRPAで開発し、わずか4日間で12,000件の許可情報を収集できるようになった。さらに、工事の種類などの発注情報を入力すると、パートナー企業の建設業許可情報と照合できるしくみを取り入れたことで、誤発注を防げるようになった。

・サッポロビール

飲料メーカーであるサッポロビールでは、RPAによりPOSデータのダウンロードの自動化を実現した。同社におけるPOSデータの分析は、営業担当者や取引先の小売店に対して、販売チャンスの発掘や実施した施策の検証などの情報提供を行う重要な営業ツールだ。そこで同社では、2012年から大手小売業グループが、専用サイトでPOSデータの開示を開始したことに合わせて、その企業のPOSデータを手作業でダウンロードしていた。しかし、データをダウンロードするためには1社あたり1日約1時間もかかるほか、20を超えるカテゴリーを手作業で抜き出す必要があったため、ヒューマンエラーも発生していた。

そこで、RPAを導入して自動化した結果、1社あたり平均約30分でダウンロードできるようになった。また、手作業のときには作業工数の抑制のために一部カテゴリーは週次の取得にとどめていたが、RPA導入後はすべてのカテゴリーで日次の取得ができるようになり、催事などに合わせたよりきめ細やかな分析や提案ができるようになった。

・三菱東京UFJ銀行

大手都市銀行である三菱東京UFJ銀行では、RPAの導入により、8,000時間分の事務処理作業を削減した。同行では、煩雑な事務処理作業が大量にあり、業務が非効率となっていた一方、それに対してITシステムを導入するにはコストがかかりすぎるという理由から手作業を継続してきた。しかし、2015年11月に、20種類の事務処理に対してRPAを導入。年間で8,000時間分(1人1日8時間労働で計算すると約1,000日分)の事務処理作業の削減ができた。

このように、業務が効率化されたことで、事務処理を担当していた社員が他の重要な作業に時間を割けるようになったのだ。また、複数のシステムを利用して実行していた事務処理にRPAを適用することで、システム連携による業務の単純化も視野に入れられるようになった。

そのほかの導入事例を見る

RPAロボットデータベース

このように、RPAを導入した企業はどこも、業務効率を改善してコスト削減や生産性の向上を実現している。特に生産性の向上は、日本の企業にとって喫緊の課題であり、RPAの導入が「働き方改革」を進めていく最大の武器になるといえるだろう。

RPA導入には職場の理解も必要

RPAは、定型業務などを自動化することで、労働生産性を高める非常に有効なツールとなる。ただし、繰り返しになるが、重要なポイントは「RPAを導入することが従業員の作業を奪うのではなく、単調な作業や時間外の作業をRPAに代行させることで、従業員をより付加価値の高い業務へ移行させてくれる」ということを、職場にしっかりと伝えてからRPAを導入する必要がある。現場に十分に理解されないままRPAを導入しようとすると、「リストラへの布石で導入するのではないか」と疑心暗鬼を生み、従業員からRPA導入の反対運動が発生したり、RPA導入後にツールが活用されなかったりといったことが起きる可能性がある。

また、RPAの導入後は、すぐに成果を上げることが期待されることも多くある。しかし、定型業務をすぐにRPAへ移行できるとは限らないため、現場の要望に合わせたボトムアップ的な視点を取り入れながら、RPA化を実現していく必要がある。そして、ある程度、RPA導入の成果が見えてきたら、トップダウン的な視点で業務を見直し、適材適所にRPAを適応させていくことが重要となる。

ただし、RPAの導入が今後いかに進んだとしても、ロボットだけで仕事は完結しない。RPAは、人間と共存して業務を分担することによって、生産性の向上や売上に貢献するといった働きが期待されるツールである。だから、例えば「派遣社員1名とRPAのセットで10人分の仕事をする」といったように、派遣社員がRPAの監督者としていっしょに業務を遂行する「ハイブリッド派遣」なども生まれ、働き方のスタイルも変革を遂げていくことにもなるだろう。

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