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日本IBMのRPAソリューション「IBM RPA」とは

RPA市場のリーダー的ポジションにあるAutomation Anywhere社と、世界170ヵ国以上でIT事業を展開するIBM社が協業して生まれたのが、RPAソリューション「IBM Robotic Process Automation with Automation Anywhere」(以下、IBM RPA)だ。
「ハイテクの巨人」であるIBMが生んだRPAソリューションとはどんな製品なのか、その特徴や導入のメリット、導入事例などとともに見ていきたい。

Automation AnywhereとIBMとの協業で生まれたRPAソリューションIBM RPA

IBM RPAは、BPM(ビジネスプロセス管理)ツールである「IBM Business Process Manager Express」(以下、IBM BPM Express)に、全世界で大規模導入実績を持つRPA「Automation Anywhere」を組み込んで生まれたRPAだ。

ビジネスアプリケーションのGUI(グラフィカルユーザインタフェース)操作を、人の代わりにロボットが実行し、プロセスを自動化するソリューションである。特に、反復タスク(データ抽出、データ転送、データ計算、データ入力など)で効果を発揮する。また、BPMも含まれているため、業務プロセスを広範囲にわたって自動化し、最適化していくことができる。

Automation Anywhereとは

Automation Anywhereは、エンタープライズ向けRPAとして世界で500社以上の導入実績を持ち、RPA市場のリーダーに位置付けられているRPAツールだ。

単独製品としては「Automation Anywhere Enterprise」としてリリースされているが、その導入の容易さ、導入期間やコストなどのトータルな評価から、多くの企業に選択されている。機械学習による柔軟な動作が可能であるなど、先進的な機能を取り入れているのも特徴だ。その長所が、IBM RPAにも取り入れられている。

IBM RPAでできること・特徴

IBM RPAには、大きく分けて以下のような3つの特徴がある。

「Control Room」によるロボットの集中管理

Automation Anywhereでは、ロボットの集中管理やガバナンス、セキュリティが評価されているほか、レポート機能によりRPAが企業や組織にもたらしたROI(投資利益率)を計測することができる。

また、ロボットの統合管理ツール「Control Room」にロボットを登録することで、複数のPCに対してロボットを派遣できる。例えば、売上を報告するロボットを各支店に派遣しておけば、自動で本社に売上データを送ることができ、全売上を集約することができる。

そのほか、Control Roomには、ロボットの稼働状況を可視化する「ダッシュボード」や、スケジュールに基づいた実行環境への「タスク・スケジュールの配布」、情報システムの処理プロセスなどを追跡できる「監査証跡機能」などがあるため、ロボットの稼働状況やログの取得を一元管理することが可能になっている。

また、強力な管理機能やセキュリティ機能も持っているため、管理者不明の「野良ロボット」の作成を防ぐこともできる。

BPM+RPAにより業務プロセス全体の可視化と最適化を実現

IBMは、「業務全体を適切に見直し、その業務プロセスのどこにRPAを適用するかを見極めたときに初めて本質的な効果が生まれる」という考え方から、IBMの業務プロセス管理ツールであるIBM BPM ExpressをIBM RPAに同梱している。

IBM RPAは、RPAツールとBPMツールとが連携したRPAソリューションであるため、人とロボットの混在した業務プロセス全体を可視化して、最適化していくことが可能だ。

例えば、銀行の口座開設業務では、人が顧客情報をCRM(顧客関係管理)ツールに登録する。その後に、ロボットがCRMから顧客情報を取得し、既存の基幹システム上で顧客登録の処理を行うといったように、業務プロセス全体の管理ができるようになる。

■IBM 自動化ソリューションデモ

また、ロボットがエラーを起こしたときには、人が作業を引き継ぐことで業務が止まらないように設計したり、人とロボットの作業時間の記録を取って作業分担を見直したりするなど、BPMツールによって業務プロセス全体の分析・改善もできるようになっている。

IBM RPAと他のRPAツールとの違い

IBM RPAは、BPMツールと一体化していることから、他のRPAツールとは異なった活用方法が可能である。

WebやExcelだけでなく、ERPなど広範囲の連携が可能

IBM RPAは、Webアプリケーション、Microsoft Officeだけでなく、ERP(統合基幹業務システム)との連携もできる。メールやファイルからの受注・請求処理の自動化や、申請内容の登録・照合・検証、必要な数値を集めて定型レポートを発行するなど、広範囲な作業をロボットで自動化できる。

また、画面操作を記録するだけでロボットを簡単に作成できるほか、約500種類も用意されているコマンドを利用して、ロボットのカスタマイズも可能となっている。さらに、人間の単純作業だけでなく、BPMツールでビジネスプロセスを管理することで、業務を最適化する機能を提供しているのも特徴だ。

IBM RPAの導入手順

IBM RPAは、開発ツール「Bot Creators」、ロボット管理ツール「Control Room」、実行ツール「Bot Runners」の3つで構成されている。

Bot Creatorsによるタスクの作成方法は、2通り用意されている。1つは「レコーダー」でデスクトップ上の作業を記録してロボットを作成する方法。もう1つは、開発画面左列のコマンドをドラッグ&ドロップするとダイアログが出てくるので、ファイル名を指定しエンコーディングの種類を選択するだけでタスクを作成できる「タスク・エディター」だ。

レコーダーで記録したロボットはタスク・エディターで部分的に編集することができるほか、「前半をタスク・エディターで、後半をレコーダーによる記録で作成する」という方法も可能だ。

なお、Bot Creatorsには、作成したロボットを起動する「トリガー機能」を豊富にそろえている。例えば、「Email」は新規メールを受信したとき、「File」は指定したファイルが作成・削除・変更・リネームされたとき、「Service」は指定のWindowsサービスが起動・停止・一時停止・再開したときが、それぞれのロボットを起動するトリガーとなっている。

操作画面

IBM RPAは見やすく使いやすい管理画面で、直感的に操作することができる。

Automation Anywhereの機能を使用すれば、デスクトップの作業を記録してロボット開発やプログラム開発が可能だ。Control Roomでは、ロボットの実行スケジュールの管理や稼働状況の把握もできる。

また、同梱のIBM BPM Expressの機能を使えば、業務プロセスもドラッグ&ドロップで簡単に設計可能だ。多様な業務プロセスでも柔軟に適用することができ、リアルタイムで業務状況を把握・分析することも可能となっている。

■IBM RPAソリューションデモ

OCR、ルールエンジン、AIとの組合わせも可能

RPAツールにBPMツールが一体化しているIBM RPAであるが、その他のIBMツールとの連携も可能となっている。連携できるのは、データのキャプチャーと画像処理が行えるOCR認識ソリューション「IBM Datacap」、ルールベースの意思決定管理ができるルールエンジン「IBM Operational Decision Manager on Cloud」、AIソリューションである「IBM Watson」だ。

IBMでは、業務自動化を実現するソリューション関連製品を、人体のしくみに例えている。BPMツールが「中枢神経系」だとすると、AIであるIBM Watsonは「右脳」、意思決定管理ソリューションのIBM Operational Decision Managerは「左脳」、OCR認識ソリューションのIBM Datacapが「目」、そしてIBM RPAは現場の業務処理を実行する「手」の役目を果たすとしている。

IBM RPAの導入事例・実績

IBM RPAは、金融機関を中心とした大手企業で多くの導入実績を誇っている。以下にその代表的な事例を紹介する。

三井住友フィナンシャルグループの導入事例

日本IBMでは、三井住友フィナンシャルグループおよび三井住友銀行の、RPAとOCR(光学文字認識)を用いた生産性向上と業務効率化の実現に向けた支援をしている。2017年11月新たにOCR認識ソリューションIBM Datacapの採用が発表されたが、これは手書きや印刷文字を認識してデータ変換する複数のOCR認識ソフトウェアを組み合わせ、OCR共通のプラットフォーム基盤を構築したものだ。従来、紙の帳票のデータ化は業務効率化の課題とされてきたが、RPAと連携することでその範囲が大幅に拡大された。

横浜銀行の導入事例

日本IBMは、株式会社横浜銀行のRPA導入にあたり、対象業務の棚卸や選定、技術検証を支援し、ロボットの開発を2017年11月から開始している。RPAの導入は、業務の棚卸を広く行い、全体最適を検討することにより、効果の最大化と投資の最小化を実現できる。

そのため、横浜銀行は、本部全体で約900業務の棚卸を行い、その中から大きな効果が見込まれる業務を選定。まずは住宅ローン業務、事務センター業務、インターネットバンキングのモニタリング業務などからRPAの導入をスタートし、順次対象業務を拡大していく予定だ。また、業務プロセス全体で自動化できる範囲を大きくし、類似業務がある場合にはロボットの共通化を図っていく予定だという。

日本取引所グループの導入事例

株式会社日本取引所グループでは、2017年11月1日からRPAの試験導入を行っている。RPAの本格導入に向けて、日本IBMは社内でのロボット開発の研修やガバナンス体制の構築、技術支援等を行っている。この本格導入では、市場監視業務や各種申請業務を中心に、業務プロセスの見直しやオペレーションの高度化に着手し、業務効率化を推進していく予定だ。

荏原製作所の導入事例

2018年5月31日、株式会社荏原製作所では工場の生産効率のさらなる向上と自動化を進めるため、業務プロセスの自動化と書類の電子化を支援するIBM RPAと、ビジネス文書を効率的に電子化するOCR認識ソリューションIBM Datacapを採用すると発表した。

荏原製作所の標準ポンプ事業部には70,000機種、部品を含めると70万件の設計図面が存在する。その大部分が紙のままで管理されており、必要な図面を探し出すために多くの時間が費やされていた。その紙ベースで管理していた設計図面の電子化とデータ抽出作業を自動化するために、IBM RPAが導入された。

サントリービジネスエキスパートの導入事例

サントリービジネスエキスパート株式会社は、サントリーグループの機能会社として、経理や総務、情報システムといった共通専門サービスをグループ各社に提供している。2011年よりIBMのBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)のサービスを活用することで経理業務を効率化してきた。

2016年からは、さらにアウトソーシングを行った伝票の入力プロセスの一部にIBM RPAを導入して、いっそうの業務効率化を推進している。

IBM RPAの導入対象

RPAを導入したい対象業務は、一般的に見ると下記のようになっている。それについては、IBM RPAも同様だ。

・同様の作業を繰り返す業務
・作業時間数が多い業務
・作業時間が就業時間外にならざるをえない業務
・作業時間が限定的で他の作業を中断して行う業務
・作業者が自動化を要望する業務

RPAのロボットは、メール送信を含めたシステムへのデータ入力や、メール受信を含めたデータ出力が得意な分野となっている。IBM RPAでも、このような動作を組み合わせて導入していく形となっている。具体的には、以下の4部門・13業務がおもなRPA導入対象として適しているだろう。

<経理部門>
・売掛・入金業務
・買掛・支払業務
・交通費の確認・精算業務
・資産の管理業務

<人事・総務部門>
・過重労働の管理業務
・人事考課の業務
・経営者に向けた月次報告書を作成する業務

<購買・倉庫部門>
・メールによる発注業務
・Web EDIによる出荷業務
※Web EDIとは、受発注取引を電子的に行うEDI(Electronic Data Interchange)をインターネットで行う手法のこと。

<営業・販売部門>
・販売状況の調査業務
・定期販売する商品の見積もりを作成する業務
・メールによる受注業務
・Web EDIによる受注業務

IBM RPAの価格・ライセンス

IBM RPAの価格については、最も安価な組合わせとして、3つのBot Creators、1つのControl Room、1つのBot Runners、IBM BPM Expressで、月額数十万円となっている。

なお、無料トライアルも受け付けており、「無料評価版を始める」のページから申し込むことができる。

IBM RPAの動作環境

IBM RPAを動作させる場合、以下のようなシステム要件がある。
・OS:Windows 7 Professional以上、またはWindows Server 2008 R2 Standard Edition以上
・実行時環境:Microsoft .NET Framework 3.5以上
・ディスクスペース:100GB以上(サーバー)/32GB以上(クライアントPC)
・メモリー:8GB以上
・プロセッサー:コアあたり最低8コアと2スレッドのx64サーバーベースCPU以上(サーバー)/Intel Core i5 2.6 GHz以上(クライアントPC)

会社概要

会社名:日本アイ・ビー・エム株式会社
資本金:1,053億円
設立年月:1937年6月
代表者氏名:代表取締役社長執行役員 エリー・キーナン(Elly Keinan)
事業内容:情報システムに関わる製品、サービスの提供
本社所在地:〒103-8510 東京都中央区日本橋箱崎町19-21br

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