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日本型「RPA」の実態とオフィスの未来

管理部門の仕事にはルーチンワークが多いのが一般的である。もしその作業を自動化することができたら、より経営に直結した仕事に打ち込める――。それを可能にするのが「RPA(Robotic Process Automation)」だ。RPAに仕事の9割を任せ、残りの1割を“プロ社員”が補完することで、企業は新たなステップへ進むことができるようになる。

  「RPA(Robotic Process Automation)」が注目を集めている。だが、この言葉を初めて聞くという人も多いだろう。日本RPA協会では、RPAについて次のように定義している。 「RPAは、これまで人間のみが対応可能と想定されていた作業、もしくはより高度な作業を人間に代わって実施できるルールエンジンやAI、機械学習等を含む認知技術を活用した業務を代行・代替する取り組みです。人間の補完として業務を遂行できることから、仮想知的労働者(Digital Labor)として、2025年までに全世界で1億人以上の知的労働者、もしくは1/3の仕事がRPAに置き換わると言われています」 RPAテクノロジーズ 代表取締役社長で、日本RPA協会代表理事の大角暢之氏は、RPAの特徴について次のように話す。 「RPAは人間が行っている作業を自動化したり、機械化したりするのではなく、人間の作業を“代行”するものです。2016年は“RPA元年”と言われていますが、ある国や地域が先頭を走っているのではなく、世界同時多発的に広がってきているのです」

「人間+RPA+機械」という3層構造にする

ではなぜ今、RPAが注目を集めるようになったのだろうか。大角氏はこの問いに対してこう答える。 「製造現場では、『人間+機械』の2層構造から、『人間+ファクトリーオートメーション+機械』の3層構造に変化しました。しかし、企業の間接部門、いわゆるホワイトカラーの部門は、『人間+アプリケーション』の2層構造のままでした。例えば、電卓というアプリケーションがありますが、それを操作するのは人間です。これまで人間は電卓を使ってルーチンワークを行い続けてきました。そのため、コンサルティング会社に業務分析を行ってもらっても、この件に関しては解決策を見出すことができなかったのです」 そこで考えられたのが、アプリケーションの操作をテストの自動化ツールを用いてマクロ化し、そのマクロファイルに作業を代行させること。この一連の作業をRPAが行うのだ。それによって、「人間+RPA+機械」という3層構造にすることができる。 そして、日本で始めてそれを可能にしたのが、RPAテクノロジーズのソリューション「BizRobo」である。BizRoboは現在、約100社に採用され、約4000ロボットが導入されている。

 

ロボットは単なるマクロではない

RPAについてよく聞かれるのは、「単なるマクロではないのか」「なぜロボットと言うのか」などといったこと。だが、大角氏は「ロボットは単なるマクロではない」と一刀両断にする。 ロボットには大きく3つの特長がある。1つは人間の作業をそのまま代替できること。前述したように、ロボットは人間が行っている作業を自動化したり、機械化したりするのではなく、人間の作業を代行するものなのだ。 2つ目は能力が最大化すること。例えば人間が1時間かけて行う作業をたった10秒で済ませてしまうなどといったことだ。また、品質ミスも少なく、原価も限界コストまで下げられる。そのため、「KPI(重要業績評価指標)を改善するどころか、最大化することができる」(大角氏)。 また、人間とロボットの能力が1:200の場合、人間は1の力で8時間しか働けないが、ロボットは200の力で24時間365日休まず働くことができる。労務リスクがないのもロボットの強みとなっている。 3つ目は変化に強いこと。今日行った業務の内容が翌日に変化したり、翌々日にはさらに変化したりする場合、人間なら対応できるが、アプリケーションでは対応できない。だが、ロボットは人間レベルのメンタリティを持つためそうした変化にも対応できるのだ。 「特にルーチンワークのロングテールのものを人に行わせるのではなく、ロボットを1つでもいいから導入して代行させれば、大きな価値を生むことが期待できます」と大角氏は話す。

現場に力がある日本企業はRPA導入効果が高い

RPAの扱い方には国や地域によって違いがある。「日本の場合、人間とロボットが共存していくような形になります」と大角氏は言う。 日本人は現場の属人的なものに重きを置く文化がある。そして幸運なことに、日本型のRPAはその文化に対応し、人間の作業の1つひとつを代行することが可能なのだという。 「日本はこれから労働人口が減り、このままだと国際競争力が失われていきます。それを何とか食い止めるため、RPAを普及させることが必要だと感じています。幸い日本では現場に力があるため、RPAの活用が広がっていけば他国にはないチャンスが生まれると思っています」(大角氏) 他方、米国では人間が作業を行っていくほどロボットが機械学習していく方法を取る。最初のうちは作業の9割を人間が、1割をロボットが行うが、3カ月も経つとロボットが作業の9割を行うようになるのだ。 「米国は多民族国家です。民族ごとの多様な文化に合わせていたら仕事がはかどりません。そのため、様々な面で標準化が進んでおり、ロボットに関してもそうした傾向が見られます。例えば1000人が作業を行って、ロボットに学習させるといったようなやり方をするのです」と大角氏は説明する。

RPA導入で人間は経営に重要な情報を提供できる

「企業がRPAを導入する際、重要なのはどの業務にRPAを使うのかを決めておくことです」と大角氏は言う。そして現在、財務会計の領域でRPAを導入する企業が増えてきているという。例えば内部監査にRPAを利用すれば、ロボットが定期的にすべてのデータをチェックするため、監査の精度が最大化する。 また、経理を含む管理部門は、経営者からはコストセンターでのルーチンワークと見られがちで、アウトソーシングできると思われてしまうことも少なくない。そこで、RPAを導入してルーチンワークはそれに任せ、人間は経営者にとって本当に重要な情報提供をできるようになれば、大きな戦力として認められるようになるだろう。 その際、重要な役割を担うのが会計の知識を持つ経理のプロだ。RPAにルーチンワークを任せ、業務の9割を自動化する。そして残り1割の業務を経理のプロが補完することで、最高の仕事ができるようになるというわけだ。 RPAはまだ巷間に広く知れ渡ったものではない。だが、2017年には多くの企業がその導入を検討するフェーズに移ると考えられている。他社の一歩先を行き、ビジネスを加速させるためにも、なるべく早くRPA導入を検討し、本格的に活用していくことが肝要だと言える。

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