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RPAが「日経優秀製品・サービス賞」最優秀賞に 導入効果の先にあるRPAの”真の威力”とは

家庭用ゲーム機「Nintendo Switch」、炊飯器「バーミキュラ・ライスポット」、プラグインハイブリッド車「プリウスPHV」―。さる2月7日に授賞式が行われた「日経優秀製品・サービス賞2017」(日本経済新聞社主催)において、メディアをにぎわせた新商品・新サービスがそろって受賞。その居並ぶビッグネームの中において、RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)の導入を支援するアビームコンサルティング株式会社の「RPA業務改革サービス」が「最優秀賞 日経産業新聞賞」を受賞した。例年、メーカーによる新製品の現物が多く選ばれている同賞で、企業に役務を提供するコンサル企業が受賞するのは異例のこと。時代に即したサービスとしての高い評価を、同社はどう受け止めているのか。RPA専門チームを統括し「分かりやすい導入効果の先に真の威力がある」と語る執行役員の安部慶喜氏に聞いた。

RPAの評価は、日本企業が現在直面する課題に正面から応えるもの

RPAの評価は、日本企業が現在直面する課題に正面から応えるもの

―今回36回目となる「日経優秀製品・サービス賞」は、独自性やコストパフォーマンスのほか「産業・社会へのインパクト」も評価し、歴代の受賞リストには時代を象徴する顔ぶれが並んでいます。最優秀賞受賞にあたり、まずは感想をお聞かせください。

受賞の知らせを聞いたときには正直なところ、かなり驚きました。というのも、実体としての商品がなく、クライアントとして接しないとよしあしが分かりづらいコンサルティングは、第三者による客観的な評価が難しいとされているからです。

われわれのチームがご提供するのは、定型業務を代替するソフトウエアロボットの活用を通じて業務効率化や生産性向上を支援するコンサルティングサービスです。人手不足対策や残業時間の抑制など、日本企業が現在直面する課題に正面から応えるものであり、ある審査員の方からは「価値ある成果がしっかり出せるサービス」とお褒めの言葉をいただきました。「社会的なテーマに対して現実的な解決策を示した」という点が、今回の受賞の大きな理由だったと思います。

コンサル企業としていち早くRPAに着目したわれわれは、導入支援で既に100社以上の実績を持っています。ロボット化を決断した企業の方々から「やってよかった」と言っていただくのを最大の喜びとして取り組んできましたが、そうしたユーザーの声がメディアを通じて広く紹介されたこともプラスに働いたと思います。

―チームメンバーの喜びも大きかったでしょう。

受賞の発表は今年1月4日でしたが、仕事始めのオフィスでは「受賞記事が載った新聞を記念に取っておいた」「家族からも褒められた」と笑顔が絶えませんでした。チームを統括する立場として大変ありがたいことでしたし、RPAを手がけるコンサル企業の、いわば”代表格”と認められたことが各自の誇りや、普及にかける使命感を高めてくれたようにも感じます。

RPA導入は部署間の対話を生むきっかけであり、業務改革のはじまり

RPA導入は部署間の対話を生むきっかけであり、業務改革のはじまり

―今回の受賞で、RPAというワードがいっそう広く注目されたと思います。ただブームになるほど、ある日突然担当を命じられるケースも増えそうです。これからRPAの活用を検討する人に、このテクノロジーの本質をどう説明しますか。

ご存じの方も多いと思いますが、RPAそのものは単なるソフトウエアで、導入目的を実現するためのツールに過ぎません。われわれが「RPA業務改革サービス」と称しているとおり、本質的に重要なのは、それを使っていかに業務改革を続け、生産性を向上していくかという点です。

業務改革とはどのようなものか、大まかに説明すると、例えばRPAを導入した企業で運用が軌道に乗ってくると、ソフトウエアで作ったロボットは仮想的な労働者(デジタルレイバー)のように機能し始めます。デジタルレイバーと人間がともに同じ現場で働くことによって”頭数”が増えるだけでなく、それぞれの強みを生かせるように従来の業務手順を見直し、適材適所での分担ができるようになります。

さらに取り組みを進めて、ロボット同士が連携できる仕組みを構築すると、今度は社内の各部署に配置されたデジタルレイバーの作業をつなぎ合わせて業務を遂行できるようになります。これにより組織横断的な業務プロセスの飛躍的な合理化・効率化が可能となるのです。

―主要先進国中で最低とされる日本企業の生産性向上は、人手不足も深刻化する中で喫緊の課題となっています。

日本企業の生産性が低い理由については多くの分析がありますが、現場レベルでみたとき、多くの企業は「削れるムダをすでに削っている」というのが私の印象です。より深刻な問題は、全社的に見たときに部署間の連携不足によって巨大な非効率が放置されている点で、これは各現場の実情に合わせて仕事のやり方を最適化してきた強みの裏返しでもあります。

短期間で明白な効果が得られるRPAは、試験導入から全社展開へのステップアップがかなりスムーズに進みます。社内のあらゆる部署が「ロボットを活用した業務効率化」というテーマ・関心を共有するようになれば、これまで不足していた部署間の”対話”が生まれるきっかけとなり、次第に対話は増加し、その結果会社全体で業務プロセスを見直そうという”うねり”が生まれます。

われわれがRPAについて「単なるツールの導入に終わらせず、業務改革につなげる」と言うとき、最終的な目標としているのは、こうした全社的な取り組みを通じた生産性向上を実現することなのです。

RPAの本質的な威力は、

RPAの本質的な威力は、”人の成長”と”組織の成長”にある

―目の前の業務負担を減らすといった局所的な狙いでRPAを導入しても、やがて全社的な生産性向上につながっていくということですか。

結論はそういうことですが、体験しないとピンとこない部分もあるかもしれません。「はっきりした成果がすぐに出る」というRPAのメリットは、現場の雰囲気を全く別物に変えてしまうほどのインパクトがあります。

RPAの導入企業は最初、それまで人がやっていた定型業務をロボットにそっくり置き換えようとします。しかし、デジタルレイバーが秘めた無限のポテンシャルに気づくと、導入部署からほどなく「ロボットが処理しやすい形に業務手順を見直そう」という動きが出始めます。与えられた手順に疑問を持たず処理していた従業員でさえ「もっと効率的な方法がないか」と考えだすのは、RPAという、自分たちをラクにできるツールを手に入れたからに他なりません。

いったん業務改革への意欲が促されると、従業員の興味はそこから次のテクノロジーにも広がっていきます。実際に私も「紙資料のデータ処理でOCRとRPAを連携できないか」「ロボットが自動処理する前段階でAIに判断業務を任せられないか」といった質問を導入先でたびたび受けています。

デジタルレイバーとの出会いをきっかけに、人がどんどん成長していく。それこそがRPAの持つ真の威力だと私は考えています。テクノロジーへの知見や習熟度の面で、RPAを活用する企業が、その次に控えるAIやIoTの応用でも有利になるのは間違いありません。向こう3年でどうロボットに取り組むかが企業の明暗を分けると言ってもよいのではないでしょうか。

―ロボットを使い、直近では業務改善の成果をなるべく早く出す。それに併せて、もっと大がかりな業務プロセス改革の準備も進めていくというのは、相応の覚悟も必要でしょうか。

確かに2つの目標を同時に追うことにはなりますが、どちらにしても「ムダが見つかった業務を変えていく」という実際の取り組みに変わりはありません。ですから、それほど身構える必要はないと思います。

生産性向上という正しい目標のもとでも、人間がそれまで行ってきた業務のやり方を変えるというのは、やはりしんどいものです。文化が異なる他部署との連携になれば、心情的な要素も介在するためにハードルはさらに上がります。

この点で、ロボットを全社展開した企業は部門間連携を実行するにあたって「各部門のロボットが行う業務の重複をなくす」「ロボット間で受け渡しできるよう業務を標準化する」といった形でロボットを共通の媒介とし、人間同士が直接やりとりする場面を減らすことができます。日本企業が苦手としてきた分野でこそ、RPAをうまく活用することで最大の業務効率化が実現できると確信しています。

―作業の処理だけでなく、組織改革を進める上でもロボットが人間をサポートしてくれるのですね。

はい。RPAは柔軟性・拡張性の高いツールですから、ごく小規模に使い始めてから適用範囲を広げていく「スモールスタート」に適しています。運用の体制や戦略づくりについても、よりよい方法を走りながら考えるというやり方で十分間に合います。

RPA導入企業への支援を通じてこれまで蓄積してきたノウハウをもとに、これから走り出す企業の悩みに応えたいというのがわれわれの思いです。業務の棚卸しや再構築を行うチャンスとしてRPAをうまく利用していただき、今後さらにデジタル化が進む業務にとって最善のプロセスを共に考えていけたらと願っています。

この記事にコメント

2018年3月13日10:13

RPAがきっかけとなり文化が異なる他部署との連携(コミュニケーション)が生まれる、RPAがITプロジェクトではなくビジネスプロジェクトである所以が見えてきた瞬間である。

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