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アンドロイドと共に生きる未来 — “マツコロイドの父”・石黒浩氏に聞く

今後AI(人工知能)やロボットの普及が加速すると予想される中でも、人間の働き方や生き方がそのときどう変わるのか、リアルに予測できる識者は決して多くない。実在の人間にそっくりのロボット「ジェミノイド」を開発、自身の“分身”とともにメディアへ登場し、タレントのマツコ・デラックスさんをモデルにした「マツコロイド」の生みの親としても知られるロボット研究者・石黒浩氏は、「ロボットと人間が対面したとき何が起こるのか」を現在最もよく知る人物だ。いずれロボットと共生することとなる未来に、われわれはどう向き合うべきなのか。世界的な第一人者の知見を紹介する。

《プロフィール》
石黒 浩(いしぐろ ひろし、写真左)
大阪大学教授(栄誉教授)、工学博士。人間酷似型ロボット(アンドロイド)開発の第一人者として知られる。1963年滋賀県生まれ。山梨大学工学部卒業、同大学院修士課程修了、阪大大学院基礎工学研究科博士課程修了。現在、大阪大学大学院基礎工学研究科システム創成専攻の教授を務めるほか、株式会社国際電気通信基礎技術研究所(ATR)フェローとして自律型対話アンドロイドおよび遠隔操作型アンドロイドの研究に携わる。著書に『人と芸術 とアンドロイド』(日本評論社)、『ロボットとは何か』(講談社)、『アンドロイドは人間になれるか』(文藝春秋)など。

アンドロイドとの共生が人を洗練させる

-堂々とした体躯を等身大で再現、なにげない仕草や肌の質感まで本人そっくりの「マツコロイド」がデビューしたのは3年前。美しい女性の顔立ちや声を人工的に合成した「ERICA」も、その存在感が世界的に注目ERICAを撮影したフィンランドの女性写真家マイヤ・タンミ氏がイギリスの国立肖像画美術館主催の肖像写真展に出品したことを「ニューヨーク・タイムズ」が報道。この写真は2017年の同展で3位を獲得した。されています。こうした精巧なロボットが、市場で市販される日はくるのでしょうか。。

量産するかどうかでしょうね。マツコロイドの製作は完全なオーダーメイドで、フェラーリ1台ぶん国内で販売されるフェラーリの新車時価格は、おおむね3,000万円前後。くらいの費用がかかっています。これでは誰も手が届かないでしょう。すでに街中でよく見かける人型ロボットの「Pepper」は大衆車クラスの価格ですが、これも比較的小型でシンプルという以上に、量産されていることが大きいです。Pepperを初回購入した場合、購入後36カ月目までの費用は消費税込みでおよそ117万円。「トヨタ カローラ アクシオ」最廉価モデルの税込み価格は、およそ153万円。マツコロイドのような精巧なアンドロイドでも、たとえば10万台オーダーがあればちょっとした高級車くらいの値段「メルセデス・ベンツ Cクラス」「BMW 3 シリーズ」の車両本体価格は、おおむね500万円前後。で販売できます。マツコさんの等身大だと家に置くには大きすぎるけど(笑)、例えば「人気女優のアンドロイドと暮らす生活」というのは、近い将来できるかもしれません。

ちょうど今、AIと会話する「スマートスピーカー」が広まりだしていますね。現状では各社とも家電のような形状をしていますが、やはり話しかける相手というのは人間に近い見た目のほうが自然。そのうち「スマートスピーカー内蔵のアンドロイド」が登場することも十分考えられます。

―では「アンドロイドが一家に1台」という時代が来ますか?

それより企業が労働力として採り入れるほうが先でしょうね。大阪のデパートで2年前、2週間にわたり売り場に立ったアンドロイド「ミナミ」当時の模様がYouTubeで公開されている。は、休みなく働けることもあって1日あたり人間の倍以上の接客をこなし、販売成績でも男性相手などでは人間の店員を上回っています。

アンケート調査によると、ロボットに接客された来店客のほうも「気兼ねなく断れるので、むしろ積極的に買い物できる」「お世辞を言わない気がして信頼できる」といった、人間の店員にないメリットを感じています。ですから、本気でロボットの導入を考えている経営者はかなり多いだろうと思います。

「教師」「通訳」としてもアンドロイドの採用が検討されています。人間は五感で得られた情報の中で足りないところを、他の感覚で補うようにできています。ですから、見た目が人間そっくりのアンドロイドが話せば、その内容が多少機械的だったとしても、なんとなく自然に聞こえるのです。

-人手不足が深刻化しています。街のあちこちでアンドロイドと会話する日常は、案外すぐ訪れるかもしれません。もしそうなったとき、われわれの生活にはどのような影響がありそうですか。

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