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「Chatwork」が可能にする次世代コミュニケーションで、中小企業のDXを推進

» 2020年08月18日 10時00分 公開
[元廣妙子RPA BANK]

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新型コロナウイルス対策を契機にリモートワークの認知度が高まり、オフィス以外の場所で仕事をすることはもはや珍しくなくなった。リモートワークは時間や場所の制約が少なく自由度の高い働き方が実現できる半面、「コミュニケーションが取りづらい」「生産性が落ちる」といった点が指摘されているのも事実だ。

働き方の変化に柔軟に対応しつつ生産性を確保するためには、コミュニケーションにおいてどのような点に留意すればよいのだろうか。2011年3月にビジネスチャットツール「Chatwork」の提供を開始し、2019年9月には東証マザーズに上場したChatwork株式会社(大阪府大阪市)の代表取締役CEO山本正喜氏に、これからのビジネスコミュニケーションに必要なことや「Chatwork」で実現できることについて話を聞いた。

■記事内目次

  • ビジネスチャットツールにより、時間と場所の制約が少ないコミュニケーションが可能に
  • 中小企業における外部、特に士業の先生方とのやり取りをスムーズにする「Chatwork」
  • シンプルで分かりやすいUIが特徴。細かなUIへの気配りも
  • チャットによるコミュニケーションを当たり前にし、中小企業のDX推進プラットフォームを目指す

ビジネスチャットツールにより、時間と場所の制約が少ないコミュニケーションが可能に

Chatwork株式会社 代表取締役CEO 山本正喜氏

−コロナ禍によりリモートワークが推奨されるなど、働き方を大きく見直す動きが出てきています。今後ビジネスコミュニケーションはどのようになっていくとお考えですか。

私は人間がやるべき仕事というのはエモーショナルな仕事とクリエイティブな仕事だと思っています。それ以外のオペレーションなどの業務はロボットやAIにより自動化され、人間の手から離れることになるでしょう。

エモーショナルな仕事というのは感情が交流するような仕事のことです。例えば営業やチームワークが必要な仕事や、おもてなしのような仕事がそれに当たります。クリエイティブな仕事というのは、例えば物を作ったり、創造的なイノベーションを起こす仕事です。人間はこの2つの領域に使う時間を最大化すべきだと思っています。

そのために変えなければいけないのが、ビジネスコミュニケーションです。従来型のビジネスコミュニケーションには電話、FAX、Eメールのほかに会議や内線、直接声をかけることなどが含まれますが、これらは時間と場所を合わせなければ成立しません。会議などは顔と顔を合わせるので非常に密度の高いコミュニケーションができ、情報量が多く効率がよいのですが、全てのビジネスコミュニケーションにこういった方法を適用すると無駄が多くなってしまいがちです。

それに対してビジネスチャットによるコミュニケーションは、時間と場所の制約が少なくコストもそれほどかかりません。Eメールには冒頭に挨拶文を入れなければならないなどのルールがありますが、ビジネスチャットではそれを省略できます。また、電話だと相手の時間に割り込むことになりますが、ビジネスチャットだと都合のよい時に確認できるので、時間を合わせる必要がありません。

ビジネスチャットによってコミュニケーションが効率化できると、自分で自由に時間を使えるようになります。我々はビジネスチャットツールの提供を通じて、コミュニケーションに使う時間と、エモーショナルな仕事やクリエイティブな仕事をする時間を自由に選べる人を増やしたいと考えています。

中小企業における外部、特に士業の先生方とのやり取りをスムーズにする「Chatwork」

「グループチャット」「タスク管理」「ファイル管理」「ビデオ/音声通話」などの機能がある

「Chatwork」には大きく3つの特徴があります。1つ目は誰もが簡単に使えることです。ノンカスタマイズのままで十分に使いやすいシンプルな設計になっています。例えば「Chatwork」の場合、最初からタスク管理機能が組み込まれており、特別な設定をしなくてもすぐに利用することが可能です。タスク管理機能自体もタスク内容さえテキストで記入すればよく、タイトルやカテゴリー、優先度などの細かな項目を設定する必要がありません。ITに詳しくない人でも使えるように、意図的にシンプルな設計にしています。

もう1つが「オープンプラットフォーム」という点です。「Chatwork」は1つのアカウントで社内も社外も関係なくシームレスにやり取りができるという特徴があります。ビジネスチャットツールを使って社外の人とやり取りをしようとすると、ゲストIDを発行しなければならない場合が多いのですが、「Chatwork」はその必要がありません。社内だけでなく、クライアントやパートナーといった社外の方ともスムーズにコミュニケーションを取ることができます。

3つ目が無料から使えることです。ビジネスチャットツールはトライアル後有料になるなど無料プランのないサービスも多いのですが、「Chatwork」は累計14グループチャットまでは制限なく使っていただけます。取引先に有料のツールを勧めるのは抵抗がありますが、「Chatwork」は無料なので気軽に勧めることができます。「Chatwork」導入がきっかけとなって取引先とサポート業務で提携したり、コンサルティング業務を行うことになった事例もあります。

この3つの特徴により、「Chatwork」は特に中小企業から高い支持を得ています。中小企業の場合ITに詳しい人が社内にいないことが多く、複数の取引先とやり取りをしているので、社内だけでなく社外とも積極的にコミュニケーションできるところを評価いただいています。現在有料ユーザーの86%程度が従業員数300名以下の企業であり、他のツールとは大きくターゲットが異なります。

−社内ではビジネスチャットツールを使っていても、社外とのやり取りは従来型のコミュニケーションである電話やEメールで行っている場合が多い印象があります。社外とのコミュニケーションを「Chatwork」で行うメリットを教えてください。

イメージしていただきやすいのが、顧問弁護士や税理士、社会保険労務士といった士業の先生方とのやり取りを行う場合です。毎月来てレポートを出していただいたり、電話などで作業をお願いするやり取りをチャットに置き換えることにより、コミュニケーションが非常にスムーズになります。

例えば顧問弁護士の先生に契約書のレビューをお願いする際に、従来であれば電話やFAXやEメールを使っていたと思うのですが、「Chatwork」のグループチャットを使えばそこに契約書のファイルをアップロードすることができますし、参加している全員が先生からのフィードバックを見られます。やり取りを見たマネージャーが本人にアドバイスをしたり、新しい人が入ってきた時には過去からのやり取りを全て見てもらうことができるので、情報共有のための時間と労力が省けます。

シンプルで分かりやすいUIが特徴。細かなUIへの気配りも

直感的に使えるシンプルなUIで、初心者でもスムーズに操作できる

−ほかに「Chatwork」ならではのこだわりがあれば具体的に教えてください。

誰にでも操作できるように、マウスで機能を選んでもらえるようにしているのが特徴です。高度な知識を必要とするような、難しいショートカットを駆使する必要がありません。また、SNSなどではメッセージを送る際に「@」を使って宛先を指定しますが、「Chatwork」は「TO」で相手の名前を指定することができます。その時名前の後ろに自動的に「さん」という敬称が入るようになっているのが特徴です。日本人は敬称を略してしまうことに抵抗がある人が多いため、デフォルトで入るように設定しています。こういった点は国産ツールならではの細かな配慮だと自負しています。

また、我々は「Chatwork」を非同期コミュニケーションとして使って欲しいと考えています。非同期コミュニケーションというのは時間と場所が異なるコミュニケーションのことです。そのために意図的に相手が今オンラインなのかオフラインなのかが分からないようにしています。集中して仕事をする時間とコミュニケーションする時間を自分で選び、相手にもそれを強制しないことで、自分も相手もストレスのない働き方ができると考えています。

チャットによるコミュニケーションを当たり前にし、中小企業のDX推進プラットフォームを目指す

「ビジネスチャットによるコミュニケーションを当たり前にしていきたい」と話す山本氏

−ここ最近DX(デジタルトランスフォーメーション)というキーワードをよく耳にするようになりました。「Chatwork」を使うこともDX化の一つだと思うのですが、このDX化の流れをどのように見ていらっしゃいますか。

これまでは日本におけるDX推進は、世代交代しなければ難しいのではないかと思っていました。しかしコロナ禍で強制的にITツールを使わなければならない状況になり、DXに対するハードルがかなり下がったように感じています。これまでITに対して値段が高い、難しいという印象を持っていた人たちが、Zoomやクラウドサービスなどを実際に使ってみて、思っていたよりも気軽に使えて便利なことに気づいたのでしょう。

これを機に一気にリモートワークが広まるかというとそれはまだ難しいとは思いますが、根本的な変化は起こっていると考えています。オフィスワークとリモートワーク、それぞれのよさを取り入れながら、仕事の内容によって働く場所を選ぶような時代になっていくのではないでしょうか。

−今後取り組みたいと考えていることがあれば教えてください。

ビジネスチャットをビジネスコミュニケーションにおいて当たり前のものにしたいですね。特に中小企業におけるビジネスチャットツールのNo.1を目指したいと考えています。ビジネスチャットは他のITツールの入口にもなるので、ビジネスチャットをきっかけとして営業管理や会計、労務管理のツールを利用できるようなプラットフォームを構築し、中小企業におけるDXの推進役として認知されることを目指します。

個人としては当社のミッションである「働くをもっと楽しく、創造的に」という世界観をさらに進化させたいです。ITによる業務効率化が進み、やりたいことに従事できるようになれば、楽しく働く人が増えてイノベーションが加速し社会が豊かになると考えています。仕事が楽しいと思う人を増やすことは私の個人的なミッションでありながら、会社として目指しているところでもありますね。

(取材・文/元廣妙子 デザイン/lifebook 構成/RPA BANK編集部)

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