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「これが当たり前になる」。管理部門を一斉リモート化した物流支援企業・関通のRPA担当者に聞く

新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、政府が東京・大阪など7都府県を対象とした緊急事態宣言を出してから1カ月が経過した。事態の終息まで“長期戦”も見込まれる中、従業員の感染予防対策としてリモートワークの導入や拡大を目下検討中という企業も少なくないようだ。

そこで今回RPA BANKでは、コロナ禍を機に管理部門の一斉リモート化に踏み切った物流支援企業である株式会社関通(大阪府東大阪市)に緊急取材。RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)も活用したフルリモート勤務の実情と展望を、RPA担当者でもある同社の井上裕喜氏(経営企画本部 システム企画部 部長 )に聞いた。

「BizRobo! LAND 2019 TOKYO」(2019年9月18日に開催)にて講演する井上氏「BizRobo! LAND 2019 TOKYO」(2019年9月18日に開催)にて講演する井上氏

会議も決裁もバックオフィスも在宅で完結。開始1カ月で「出社ゼロ回」

──貴社は物流センターの運営代行や、ECサイト出店者の受注処理代行などを事業展開されています。本題に入る前にまず、貴社が関わる物流の現況についてお聞かせください。

新型コロナウイルスの影響で貨物の取り扱いが減ったお客さまがある一方、足元の状況変化や今後の見通しについては、まだ何とも言えません。ただ、事業に対する大きなインパクト・影響は現状ではないと認識している状態です。

──緊急事態宣言を機に、管理部門などを全面的に在宅勤務へ移行させたと聞いています。経緯や詳細についてうかがえますか。

4月7日に緊急事態宣言があったのを機に、物流拠点での実作業を行わない社員はほぼ全員、週5日の在宅勤務に移行しました。対象は経営企画・システム開発・経理総務・営業などの約50人で、従業員全体の約6%にあたります。

緊急事態宣言に先立ち、国内の感染例がニュースになり始めた今年1月下旬ごろから、経営企画本部取締役 達城利卓が中心となって非現業部門のフルリモート化を検討し始め、管理職レベルで準備を進めてきました。請求処理などの事務作業については、RPAを活用した自動化をここ2年ほど進めてきたので、それらが遠隔操作でも支障なく運用できるかを確認しました。

会議はすべてWebサービスの「Zoom」で行い、決裁では電子決裁システム用のアプリ「スマート決裁」を利用し、すでに社内稟議でハンコは不要な環境になっています。

バックオフィスの事務処理については、RPAツール「BizRobo!」でシステム間連携させた社内環境にVPN(仮想的な専用線)で接続できるようにし、緊急事態宣言後に管理職以外にもVPNを開放しました。

──対象部署のフルリモート化から1カ月が経過しましたが、この間に出社しなければならない場面がありましたか。

ほぼありません。私自身、フルリモートに移行してから1度も出社していません。

──非現業でも、会社で保管している現物が必要になりませんか? 例えば、郵送で届く請求書の処理はどのように行っているのでしょうか。

郵便物を確認して開封し、請求書をスキャンしてPDF化するところまでは、出社している現業の担当者にお願いしています。

コロナ禍を機に「生産性が向上した」理由とは

──通信環境など、在宅勤務で必要な設備面についてもお聞かせください。

もともと管理職には通信機能付きのタブレット端末が会社から1人1台貸与されており、勤務時間内はZoomを常時接続して連絡を取り合っています。

──勤務時間や、その中での動き方はリモート化の前後で異なりますか。

午前9時から午後6時までの就業時間は従来と変わらず、始業時にその日の作業計画を確認するのも同様です。

──お互いの姿が見えないと、特に管理職は「メンバーの生産性が下がらないか」が気がかりという話も聞きます。貴社の場合はいかがですか。

「直接顔が見えたほうがやりやすい」といった声は、今のところ聞こえてきません。個人的にはむしろ「リモート化して生産性が高まった」というのが実感で、社内の受け止め方も同様のようです。「コロナ禍が終息しても、この体制を続けては」という意見も、既に多く上がっています。

──急きょ始めたリモート化で、なぜ生産性を高められたのでしょうか。

「取引先からペーパーレス化への協力を得やすくなった」ことが大きいです。

今回の事態を受け、従来紙で行っていた請求が、場所の制約を受けないデータでのやりとりへ急速に切り替わっており、これが業務効率化につながっています。

この3月以降、データによる請求への移行を重点的にお願いした中では、取引先の過半数から合意が得られました。

──ちなみにリモート化後、井上さんが一番困ったことは何でしょうか。

リモート化以降「特にこれが困った」ということは、今のところ思い当たりません。

「オンライン営業」も本格化。スムーズな移行を成功させる秘けつとは

──貴社は在庫管理やチェックリストなど、自社で開発したシステムの外販事業も展開されています。営業・サポート部門の対応状況はいかがでしょうか。

客先への訪問ができなくなりましたので、導入支援や問い合わせ対応などは全面的にリモートに切り替えました。資料の共有も含めてZoomで十分対応できており、新規のご提案に関しても在宅での取り組みを本格化しつつあります。移動にかけていたコストと時間がなくなる分、営業効率は高まると見込んでいます。

営業活動としては従来、システムの活用状況などを当社の現場で実際にご覧いただくことが多かったのですが、これも動画配信やライブ中継に切り替えていくことになりそうです。

──現業のウエートが大きい事業の中でも、対応可能な部署から、着実にリモート対応が進んでいるのですね。

はい。「リモートで想像以上のことができてしまう」というのが正直な感想です。Zoomでのやりとりの背後でお子さんの声が聞こえることもありますが、お互いすぐ慣れて気にならなくなりました。

RPAの開発運用を担当する私自身の立場から言うと、進行中の案件について関係部署の同僚と会社で顔を合わせるたび問い合わせや催促を受けていたのがなくなり、開発に集中できるようになったので、逆にかなり助かっています(笑)。

請求関連のほか、帳票発行関連でも社内外の最新状況を踏まえてRPAの対象業務を増やしていく計画で、ロボット化によるリソース創出効果を現状の月2,300時間相当から、早期に倍以上へ持っていきたいと考えています。

──ここまでのお話で、やはり気になるのは「3週間出社ゼロでも、RPAで自動化されたオペレーションが会社で回る」という仕組みです。ずばり、成功の秘けつは何でしょうか。

RPA導入に際し、ふさわしい手順に見直す狙いで事務作業の流れを一通り把握していたことから、今回リモート対応の想定から漏れる“穴”が生じなかったのが大きいと思います。

RPAで自動化したのは、従来オフィスで手作業していたシステム間の転記などで、手放しで済むようになったもののほか、その都度RPAツールを起動して実行させる部分、また他のシステムに連動して起動する箇所などがあります。一見複雑なようですが、全ての業務フローを押さえていたので、VPN経由の操作や確認、さらに万一のエラー処理が可能と分かった時点で、確実にリモート化できる自信がありました。

──リモートワークの拡充に向け、今から業務自動化に力を入れたい企業も少なくないと思います。最後にアドバイスがあればお聞かせください。

今回の緊急事態宣言を機に、RPAをはじめとするテクノロジーを活用してオフィスワークを自動化し、自宅などから遠隔管理する運用が、どの企業でも当たり前になっていくと思います。ただ、『全く現場に行かずに済む仕組み』を確立するには、例外的な処理を含めて取りこぼしなく手立てを打たなくてはなりません。

遠回りに思えるかもしれませんが、まずは事務作業の全体像を可視化し、ボトルネックとなっている工程をリモートワークに切り替えるところから始めるとよいのではないでしょうか。

──参考になった読者も多いと思います。ご多忙のところ、詳細なお話をありがとうございました。

【取材協力】
株式会社 関通


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