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大手企業経営者がRPAに注目するその理由(後編)

前編に続き、アビームコンサルティングの「RPA業務改革サービス」について、同社の安部慶喜・戦略ビジネスユニット 経営改革セクター長から最新事情をお伝えする。アビームがRPAに取り組み始めた経緯、RPAによる業務改革がいま注目される社会的背景といった前編の内容を踏まえ、以下では、実際に成果を挙げている導入企業での具体的な活用法を紹介。また、RPAの普及が同社やクライアント企業へ今後及ぼしていく影響について、フロントランナーである安部氏の見解を尋ねた。  

金融から製造業、サービス業へと広がるRPA

国内企業のRPA導入に「もはや業種はまったく関係ない」と安部氏は断言する。産学官連携のプラットフォームとして昨年7月「一般社団法人日本RPA協会」が設立されたのを機に、産業界全体の導入機運が一気に拡大。もともと導入が早かったのは金融業界だったが、現在ではむしろ、企業の母数が大きい製造業やサービス業からの問い合わせが上回っている状況という。 安部氏によると、RPAの活用で金融業が先行したのは、事業の性質としてRPAと親和性が高い部署を多く抱えていたのが理由だった。例えば金融各社はコールセンターを持ち、顧客との一問一答で段階的に事務処理するシステムを備えている。それらを改良していく過程で、決まった手順の自動化に強いRPAを採り入れるケースが多かったのだ。 金融機関はまた、大量の事務処理に特化した基幹システムを備える一方、そのシステムで保管すべき情報の精査や更新については、人間が作業しやすいExcelベースで行うケースが圧倒的だ。システムとExcelの間では、データをやりとりする膨大な業務が日々発生しており、こうした定型業務をそっくりそのまま、しかも人間より正確・高速に実行できるという点で、RPAの強みを存分に発揮できたことも大きい。 しかし、RPAによる自動化に適した業務は金融業界に限らず、デスクワークをしているすべての職場に潜んでいる。最近の導入事例を例に、安部氏は次のように説明する。 「営業が新しい顧客を開拓したら、どこの会社も顧客台帳に加えるでしょう。取引先を1個、マスターデータに増やすということで営業がExcelの申請書を作っている場合、それをワークフローシステムに乗せて審査担当者に確認させ、パスしたものは登録用フォルダに保管する。抽出したデータは、基幹システムへ登録する。こうした一連の作業を、RPAはすべて自動化できるのです」 社内で顧客データ追加のような作業が大量発生している場合、自動処理するために専用システムを構築するとなると数千万円は下らない。しかも申請書などのフォーマットは職場の実情を反映してひんぱんにバージョンアップされる可能性が高いが、対応するシステム更新をその都度実施するのは、現実的に不可能だ。結果として、こうした事務作業の自動化は費用に見合う成果が期待できないものとされ、長らく真剣に検討されてこなかった。 「人間がExcelのフォーマットをどんどん変えるのは、オペレーションの進化なのです。ですから、その都度業務をそっくり覚えて代行させる方法が適しているのです。この点RPAは、使う人自身が機能をカスタマイズできる。変化に対応しやすいと大変重宝されています。特に日本企業では、現場の工夫で効率化できることが大事なのです」(安部氏)  

総合職の業務も「約8割はRPAで代替可能」

RPAが秘める可能性を知るにつれ、定量的な業務削減効果も気になるところだ。この点を安部氏に尋ねると、正確な測定結果はまだ多くないと断った上で「アビーム子会社のバックオフィスに試験導入した2016年上期の結果では、人間がPCを使用する業務の60%超を削減できました。お客さまの導入先をみても、感覚的には同程度。意外に多いですよ」という答えが返ってきた。 企画立案など非定型的な業務を担う総合職も、RPAによる自動化の例外ではないという。総合職の仕事は昨日と今日で判断が変わりうるし、諸事情の勘案はベテランしかできないといった反論を受けそうだが「実は総合職の業務も、条件に応じた機械的処理の組み合わせで説明できるケースが約8割。どれほど複雑に見えても、機械的な処理に分解できる判断ならすべてRPAで置き換えられます。属人的な仕事と思われていた業務でさえ、工夫次第でRPA化できるかもしれない。RPAの導入は、そうした業務改革の意識を高めることにもつながります」(安部氏)とのことだ。 これまでに安部氏は「従業員の仕事確保が優先」と語るクライアントの役員にRPAの検討を拒まれたことがあるという。センシティブな問題をはらむのは確かだが、「RPAで従業員と経営層をそろって単純作業から解放され、より次元の高い、クリエイティブな仕事に向かうことが日本企業の競争力向上につながる」という安部氏の信念は揺るがないそうだ。

小さく始め、早く成果を得たい企業に応える「アビームのRPA」

破壊的とさえいえるポテンシャルを持つRPA。果たして今後、日本の産業界にどこまで浸透するのだろうか。 そんな問いに対して安部氏は「iPhoneがよい例ですが、普及しだすと非常に速いのが日本の特徴。RPAも今年1年で一気に伸び、この分野で世界一になるかもしれません」とコメント。さらに「人手不足が深刻化するなか、IoTで押し寄せるビッグデータをさばくにもRPAは不可欠。あって当たり前・どんな業務でも使う・みんな使えるExcelのようなツールになっていくでしょう。RPAの導入をためらっていると、社会のあらゆるデジタル化に乗り遅れるかもしれません」と警鐘を鳴らした。 RPAの普及をリードする自社の今後について「使って当たり前になったときにRPAに一番精通しているコンサルティングファームでありたい。特にこれから世界経済の中心となるアジアでは『RPAと言えばアビーム』という圧倒的ナンバーワンを目指します」と意欲をのぞかせる安部氏。今まさにRPAを検討し始めた企業人を念頭に、次のように述べて取材を締めくくった。 「日本市場では、まず使ってみて、単年度から2カ年程度で成果を出すというスモールスタートへの対応が重要と捉えています。なるべく導入のハードルを下げ、業務改革の効果を実感いただきながら、さらなる採用拡大につなげていく。それが『アビームのRPA』だと認知いただけたらと願っています」  

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