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人工知能の今が分かる

(Writer : 幾谷)

未来よりも今が知りたい

いま世界中で議論されている2045年問題というものをご存知でしょうか?

2045年には人工知能の能力が人間を上回る」という米国のコンピューター学者が提唱した仮説がその中心にあります.2045年には人工知能が人間の能力を抜き去り,世界のありとあらゆるものがAIによって支配されるといった未来を世界中の研究者たちが真剣に議論しているのです。

人工知能,人工知能と世界中で騒がれだしてから数年が経ちました.人工知能というワードだけでなく,ディープラーニングやビッグデータなど日々新しく難解そうな単語も聞こえてきます.正直なところ,新しい単語ばかり増えて,人工知能でけっきょく何ができるのか,現代でどのように役立っているのかについての情報は少ないのが実情です.むしろ膨大な単語に圧倒され,不安ばかり煽られていると感じている方も多いのではないでしょうか.私もその中のひとりです。

この記事では数十年後の未来ではなく,2015年の現代において実用化されている人工知能ベース製品「vufind」の紹介から,これから人工知能という技術とどう付き合えば良いかを考えます.

vufind 
(cited by http://www.vufind.com/ )

人工知能がECビジネスを進化させる

Vufindは2010年に設立されたAI-as-a-Serviceつまり「サービスとしての人工知能」を理念に掲げるカリフォルニアの企業です.Vufindは主にEC,つまりネットショッピングに関わる人を支援するために活動しています.

私たちはネットを使って,数多くの商品を短時間で大量に見ることができるようになりました.しかし,多くの商品を見られるということは同時に多くの迷いを生むことにもなります.私も商品を探すため画面をスクロールするのがときどき億劫になります.

Vufindが提案するのは,私たちがネットショッピングでする行動(クリック,じっくり商品画像を眺めるなど)を人工知能により分析し,本当に好みの商品だけを選りすぐってくれるというサービスです.ネットショッピングを利用するユーザーだけでなく,ショップを経営するオーナーやWeb会社にとっても,個人の好みに合わせた商品を人工知能が勝手に推薦してくれるのは大きな利益を生みだします.

How it works? どうやって動くのか

Vufindはユーザーの好みを分析するための様々なAPIを持っています.例えば,ユーザーが気に入った製品に似たものを探すvuMatchは,彼らの持つAPIの中でもメインとなる製品です.公式サイト内のHOW IT WORKSの欄に,その動作フローがわかりやすく説明されています.

how_it_works
(cited by http://www.vufind.com/platform.html )

まず売りたい新製品のリストをVufindに登録します.すると,内蔵されたDeepVuという人工知能APIがそれぞれの製品の特徴を抽出します.その後,ユーザーのクリックや長時間の視線の停止をトリガーに,気に入った製品に似たものをユーザーに提示します.この仕組みによって,あるECサイトでは17%も収益が増加したという結果が示されています.利用料金は1時間当たり$250,日本円でおよそ3万円です.大規模ECサイト以外ではすこし高めの料金となるでしょうか. 

人工知能といかに付き合う?

Vufindをはじめとして,現在も多くの人工知能ベース製品が開発・販売されています.衝撃的でよく耳に入ってくるのは20年後や30年後の未来で起こる問題ですが,いまどのように人工知能が利用されているのかを調査しておくのも,ビジネスマンやエンジニアにとって有用ではないかと思います.

人工知能の今を知ってこそ,2045年問題のような衝撃的な未来の可能性を正しく理解することが可能になるのかもしれません.未来のことを考えるのはとても刺激的ですが,いま目の前にある世界でどのようなことが起こっているのかを見ることも,たいへん興味をそそるトピックになりそうです.

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