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ネット上で犯罪者を検挙?犯罪捜査を革新するビッグデータ

犯罪捜査というと、警察が犯行現場周辺や容疑者の自宅などで証拠を探し回る姿を思い浮かべる人が多いのではないだろうか。しかし今、これまでの犯罪捜査を革新する新たな取り組みが英国で行われている。ビックデータを犯罪捜査に活かそうという試みだ。

ビックデータと言えば、企業のマーケティング活動などへの活用が近年注目されているが、それを犯罪捜査に活かすとは、どういったことなのか。
本記事では、ビッグデータ活用の手法の中でも、誰でもアクセスすることの出来る情報(オープンソース)を用いて、 特に児童ポルノに関わる犯罪者を撲滅する取り組みを紹介する。

児童をめぐる性犯罪の現状

近年、「児童ポルノ」と呼ばれる、児童を対象にした性的な写真や、児童に対する性犯罪が増加している。
内閣府が出した、「児童ポルノの取締りの現状と国際協力について」によると、2002年には189件だった児童ポルノ事件の検挙件数が、2011年には1,455件と増大している。

そもそも児童ポルノは、お互いの同意の上に成り立つ成人ポルノと違い、抵抗することの出来ない児童の写真を無理やり撮影する場合が多いことから、児童虐待の側面がある。さらにその写真が一度インターネット上で拡散されてしまうと、全ての写真を削除することは事実上不可能となってしまうため、「児童ポルノは児童の性的虐待の恒久的な記録」と考えられている。

こうした問題は、日本国内のみにとどまらず、多くの先進国では、児童ポルノにまつわる犯罪を抑止する法整備が進められている。では各国ではどのように対応しているのだろうか。その一例として英国での取り組みを紹介しよう。

児童ポルノ犯罪を撲滅?英国での取り組み

英国版FBIともいわれる、NCA(National Crime Agency)は、同国のテクノロジー企業であるBAE System社らと手を組み、児童ポルノ犯罪を捜査するオペレーションを構築した。このオペレーションこそが、ビックデータを活用した新しい取り組みである。

BAE System社はこのオペレーションに、オープンソースを様々な方向から分析する「OSINT」という手法を用いている。 OSINTとは「Open Source Intelligence」の略語で、誰でも入手できる情報を集め、それらを突き合せて分析する情報分析手法である。対象の犯罪に関連する、インターネット上のあらゆる情報を分析することで、犯人像を浮かびあがらせることに成功しているのだ。

例えば、犯罪が発生したとみられる時間のSNSの投稿や、その他出会い系サイトでのチャット内容、わいせつな画像サイトに残るわずかなアクセス情報等をネット上から収集して、様々なアプローチで分析を行い、容疑者の居場所、名前を特定するといった具合だ。

この取り組みは瞬く間に成果を上げ、開始早々660人もの容疑者を逮捕することに成功している。

BAE Systems社のMartin Sutherland氏によると、こうして分析した情報を、各捜査員に連携することによって、より早く危険が及びそうな被害者を特定して保護し、より早く犯人を逮捕することができるようになったという。

まとめ

いかがだろうか。今まで警察の捜査と言えば、ドラマで描かれるような各捜査員が足で情報を稼ぐといったイメージだったのではと思う。
しかし、テクノロジーが発達した今、インターネットを用いてより効率的な捜査ができるようになった。

今回の事例では、児童ポルノというインターネットに結びつきやすい特性を持った犯罪の捜査であるが、ウェアラブルデバイスやセンシング技術の発達によって、人やモノがインターネットと繋がることになれば、ほとんどの捜査でこの手法が応用できることになるだろう。そして犯罪検挙率が上がることによって、ゆくゆくは犯罪の抑止も期待できるだろう。

このように、ビックデータはその活用の目的と方法によって、社会を変える力をも秘めているのだ。

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